著者
太刀川 平治 安藏 彌輔
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.43, no.414, pp.5-32, 1923 (Released:2008-11-20)

本篇は筆者が從業せる猪苗代水力電氣會社の送電線路運用の實績并に維持状態を研究的に記述せるものなり、此送電線路は云ふ迄もなく我國に於て目下運用されつゝある送電線路中最高電壓最長距離のものなれば、此送電上の記録は他の送電事業の爲め良好なる參考資料となるべし、本篇の内容は先づ送電線路施設の梗概に始まりて、此等施設に對し其後の經驗に基きて改修な施せる諸點を指摘し、次に送電能力、電力需要増加の趨勢、送電線路運用上の諸經驗等た述べ、過去八ヶ年に渉れる期間に於ける送電線事故中其代表的のものを列擧して故障の種類の如何なるものなるかな示し、更に全體の送電線路を細大となく統計分類して示ぜり、次に雷雨の觀測並に碍子の故障と氣温との間の關係を擧げ、送電線路の維持に關しては不良碍子の研究發表な後日に讓り不良碍子の檢出方法及び取換作業并に碍子補充方法な述べ、更に鐵塔、地線并に木柱等の減損に關して示す所あり、最後に送電線路の諸經費な計上して本篇な結べり。