著者
岡部 惠子 佐鹿 孝子 大森 智美 久保 恭子 宍戸 路佳 安藤 晴美 坂口 由紀子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.343-351, 2009-07-01
参考文献数
17

「健やか親子21」が課題としてあげている思春期における若年者の人工妊娠中絶,性感染症の増加などの問題解決にとって性教育は重要な役割を果たし得る。しかし,「健やか親子21」の中間報告においてそれらの改善は十分とはいえないという結果とともに,適切な指導者のいないこと,適切な教材に対する共通理解が得られていないことを性教育上の課題としてあげている。本研究はこれらの問題解決への具体的方策を得るために,大学生に対して高等学校時代の性教育に関する認識調査を行った。調査の結果,(1)性教育は約60%が男女合同で受けている。(2)性教育授業担当者は保健体育教諭が85.4%,養護教諭は134%であった。(3)適切な性教育授業担当者としては養護教諭を1位に,性教育の専門家を2位(両者とも6割弱)にあげ,保健師・助産師・看護師は4位(37.9%)であった。(4)性教育を「理解できた」とする者は82.8%,「役に立った」は46.2%であった。(5)性教育の受講内容は「性感染症」を最も多くあげ,「異性の人格尊重」「異性の心理と異性との付き合い方」が少なかった。(6)高校時代にもっと聞きたかったのは「性感染症」「妊娠」「異性の心理と異性との付き合い方」「人間としての生き方」が多かった。以上の結果より,看護職者が高校生への性教育に関与していくための方向性が示唆された。