著者
安達 雅彦
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.205-208, 2006

ファンファーレNo.1とファンファーレNo.2は,2005年10月に岡山県で開催された国体(新見会場)の式典のために作曲したもので,両曲とも使用楽器は3声部のトランペット(Bb)である。ファンファーレNo.1は10月23日の開会式における「開式通告」その他で,そしてファンファーレNo.2は10月26日の総合表彰式における「競技会終了宣言」で演奏(初演)された。演奏者は新見市立新見第一中学校吹奏楽部,岡山県立新見高等学校吹奏楽部,新見ウインドアンサンブルで構成された吹奏楽団のトランペット奏者で,指揮は作曲者であった。なお,式典は新見ピオーネ球場で開催された。
著者
安達 雅彦
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.211-219, 2011

我々の周囲には多くの機械があり,それらは人間の生活を快適なものにしている。乗り物でいえば,自動車が馬車にとって代わって久しい。あらゆる場面で機械は能率よく正確に作動し,まことに便利である。しかし,機械は融通がきかず,プログラムされた機能を超えて作動することはない。その点,人間は生産性では機械に劣るものの,場面に応じて様々に対応できる優れた面を持っている。 ところで,近年のファスト・フード店やコンビニエンス・ストアでの接客態度は丁寧である。おそらく,練り上げられたマニュアルが存在しているのであろう。しかし,マニュアルどおりに実行されれば,どの地域でも,どの店舗でも画一的な言い回しになり,まるで機械に語りかけられているようで味気ない。人間的な機械の開発は大歓迎されるだろう。が,機械的な対応しかできない人間の増加は避けたい。 本曲は,自然と人工の対比を表現したものである。演奏に際しては,パソコンの音声合成ソフトである『鏡音リン・レン』で作成した,「こんにちは」と「いらっしゃいませ」という二種の"声"を効果音として使用する。これは,機械であるかのようにマニュアルどおりに接客する人間を表している。さらに,自然界の音(しずくが落下する音)と人工の音(電車の発車の音,自動改札機の音)を,パソコンによって編集したものを効果音として加えた。フルートは,①踊り,②行進曲,③歌の要素を盛り込んだ変奏曲とした。 なお,本曲の初演は,2010年12月18日に,まなび広場にいみで開催された照葉樹定期演奏会Vol. 21で,作曲者自身により行われた。
著者
安達 雅彦
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.171-176, 2015

1979年7 月14日に,愛媛県南宇和郡城辺町の久良湾の水中から,旧日本海軍の戦闘機であった紫電改が引き上げられた。同機は,長崎県の大村基地にあった343航空隊に所属していたもので,1945年7 月24日の出撃後に帰還しなかった6 機のうちの1 機と考えられている。引き上げられた紫電改は,製造元の旧川西航空機株式会社(現在は新明和工業株式会社)で修復され,現在は愛媛県南宇和郡愛南町にある紫電改展示館で展示されている。展示されている紫電改には,兵器としての圧倒的な威圧感がある。と同時に,一人の兵士の墓標でもあることから,その佇まいは厳かである。 本曲は,引き上げられた紫電改の中で戦死した搭乗員への鎮魂歌で,三つの楽章で構成されている。作曲にあたっては,所属部隊の数字の"343"を,E 音→ F 音→ E 音に置き換えて短いモティーフとし,これを基に各フレーズを紡ぎ出した。なお,三つの楽章は,切れ目なく演奏される。 演奏の際には,一時343部隊が置かれていた松山空港・空港周辺の掩体壕跡・引き上げられた紫電改の写真を演奏者の背後に投影するとともに,波音を効果音として用いる。 本曲の初演は,2014年12月13日にまなび広場にいみで開催された照葉樹定期演奏会Vol.25で,作曲者自身により行われた。