著者
安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.75-81, 2011 (Released:2011-07-02)
参考文献数
24
被引用文献数
8 2

【目的】学校給食の食べ残しに関連する要因を検討すること。【方法】2009年5~6月,都内の小学校に通う5~6年生112名を対象に,自己記入式質問紙調査を行い,その日の給食についてたずねた。調査は2日間,給食の後に行った。調査当日の給食の食べ残しの状況を従属変数とし,食前の空腹感,食後の満腹感,献立の嗜好,喫食時間の過不足,食具,性別,BMIを独立変数として,ロジスティック回帰分析を行い,食べ残しの要因を検討した。同一の対象者に2回ずつ調査を実施したため,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて延べ224名として解析を行った。【結果】有効回答数は延べ222人であった(回収率99%)。多変量ロジスティック回帰分析の結果,喫食時間(オッズ比[OR]=45.31,95%信頼区間[95%CI]=13.46~152.53),嗜好(OR=2.71,95%CI=1.04~7.09),BMI(OR=0.80,95%CI=0.65~0.99)が食べ残しと関連していた。【結論】本研究により,給食の食べ残しに関連する要因には,喫食時間,嗜好,BMIがあることが示唆された。今後は,児童の食べ残しを減らすための栄養教育を行うとともに,学校全体として食べ残しの問題に取り組む対策を考えていく必要がある。
著者
小島 唯 阿部 彩音 安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-93, 2013-04-01
参考文献数
13
被引用文献数
4

【目的】学校給食の食べ残しと児童の栄養摂取状況との関連を検討すること。<br>【方法】2009年5~6月,東京都公立小学校に通う5・6年生の児童112名を対象に,給食の食べ残しに関する自記式質問紙調査と残菜調査を実施した。残菜調査は,対象者一人につき2回ずつ行い,延べ人数のデータを用いた。残菜調査の結果から,食べ残しの有無により,残菜率0%の児童を完食群,それ以外の児童を残菜群とした。この2群の栄養摂取量の中央値の差について,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて検討した。解析対象の栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,ミネラル5種,ビタミン4種,食物繊維とした。<br>【結果】延べ人数で,218名分の残菜データを得た。そのうち,男子104名(47.7%),女子114名(52.3%)であった。全体で,残菜群が80名(36.7%),完食群が138名(63.3%)であった。残菜率は0.2%~84.3%の間に分布していた。残菜群と完食群のエネルギーの中央値(25,75パーセンタイル値)は,各々 562(435,658)kcal,715(699,715)kcalであった(<i>p</i><0.001)。また,ビタミンCの中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 26(16,35)mg,完食群で 41(41,47)mgであった。同様に,その他すべての栄養素等で差がみられた(すべて<i>p</i><0.001)。<br>【結論】残菜群のビタミンCを除く栄養摂取量は,完食群に比べて2~3割少なかった。残菜群のビタミンC摂取量は,完食群に対して4割程度少なかった。
著者
外山 未來 安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.350-356, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
13
被引用文献数
6 2

【目的】中学校給食の食べ残しに関連する要因を検討すること。【方法】2009年12月,東京都A区の公立中学校33校に通う2年生,142クラスの残菜調査,担任142名を対象にクラスの給食時間の状況に関する調査,生徒4,634名を対象に給食の食べ残しに関する自己記入式質問紙調査を行った。クラスごとの残菜率を中央値で2群に分け,喫食時間,給食時間中の取り組み,食べ残しに関する8項目との関連を検討した。【結果】残菜調査は142クラス中,134クラスから回答を得た(回収率94.4%)。134クラス全体の残菜率の中央値(25%,75%タイル値)は9.3(4.6,16.0)%であり,残菜率の低いクラスは71クラス(53.0%)であった。134クラス全体の喫食時間の中央値(25%,75%タイル値)は15(13,15)分であり,残菜率の低いクラスは,喫食時間が長いクラスの割合が高く(p=0.015),給食に関する取り組みの数の多いクラスの割合が高かった(p=0.040)。また,残菜率には食べ残しに関する8項目で関連が見られ,特に残菜率の低いクラスは,「きらいな食べ物がなかった」,「おいしかった」と回答した生徒の割合が高かった。【結論】中学校給食の残菜率が低いクラスは,喫食時間が長く,給食に関する取り組みの数が多かった。また,残菜率が低いクラスでは,「きらいな食べ物がなかった」,「おいしかった」と回答した生徒の割合が高かった。
著者
小島 唯 阿部 彩音 安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-93, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
13
被引用文献数
8 4

【目的】学校給食の食べ残しと児童の栄養摂取状況との関連を検討すること。【方法】2009年5~6月,東京都公立小学校に通う5・6年生の児童112名を対象に,給食の食べ残しに関する自記式質問紙調査と残菜調査を実施した。残菜調査は,対象者一人につき2回ずつ行い,延べ人数のデータを用いた。残菜調査の結果から,食べ残しの有無により,残菜率0%の児童を完食群,それ以外の児童を残菜群とした。この2群の栄養摂取量の中央値の差について,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて検討した。解析対象の栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,ミネラル5種,ビタミン4種,食物繊維とした。【結果】延べ人数で,218名分の残菜データを得た。そのうち,男子104名(47.7%),女子114名(52.3%)であった。全体で,残菜群が80名(36.7%),完食群が138名(63.3%)であった。残菜率は0.2%~84.3%の間に分布していた。残菜群と完食群のエネルギーの中央値(25,75パーセンタイル値)は,各々 562(435,658)kcal,715(699,715)kcalであった(p<0.001)。また,ビタミンCの中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 26(16,35)mg,完食群で 41(41,47)mgであった。同様に,その他すべての栄養素等で差がみられた(すべてp<0.001)。【結論】残菜群のビタミンCを除く栄養摂取量は,完食群に比べて2~3割少なかった。残菜群のビタミンC摂取量は,完食群に対して4割程度少なかった。