著者
安部 美和 大西 康伸 長谷川 麻子 本間 里見 下田 貞幸
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.167-178, 2020 (Released:2020-06-01)

本研究では,災害後の集団移転を伴う生活再建では,用地の確保とライフスタイルの維持が移転先選定において重視されるという仮説のもと,大正3(1914)年の桜島噴火を事例に検証することを試みた。長距離かつ出身地区が異なる被災者同士の集団移住事例であるにもかかわらず,これまで移住先での生活について明らかにされることはなかった。本研究では,2年を要した移住者子孫への聞き取り調査の結果から,国内への集団移住者に比べ土地所有や生業に就くことは難しくなかったこと,日本式の住宅や生活環境が維持された一方で,故郷の文化は言葉と食事に僅かに残るのみであったこと,小学校を中心とするネットワークが形成されていたことが明らかになった。