著者
小粥 祐子 斎藤 英俊 平井 聖 千田 堅吉 吉野 敏武 岩佐 奈美
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.189-199, 2020

建物・住宅の室内を装飾する材料の1つに「唐紙」という壁紙がある。現在,唐紙は京庸紙と江戸からかみの2系統に分けられている。京都にある「唐長」では,京唐紙を寛永年間(1624-1643)から,今もなお,家業として製作しつづけている。この「唐長」には,江戸時代から伝わる史料群『千閏家文書』がある。約400年におよぶ「唐長」の歴史の中で,目本住宅における唐紙の需要と供給は様々に変化してきた。そこで,本研究助成では,『千田家文書』を整理するとともに,時代により唐紙の需要が変化した際,「唐長」の経営・販売形態にどのような変化があらわれたのかを明らかにした。
著者
矢吹 剣一 黒瀬 武史
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.141-152, 2019 (Released:2019-05-01)

本研究では,深刻な人口減少を経験した米国の衰退工業都市で策定されている空洞化地区の土地利用転換を図る総合計画(縮退型都市計画)の戦略性を分析した。主には産業用地(工場跡地)の 用途転換や,空洞化に応じた低密住宅地への土地利用転換,住宅市街地の産業用地への転換が計 画されており,一部の自治体では人口減少時代の不確実性に対応するための「可変性」を内包した土地利用計画が策定されていた。新規居住者の流入を抑制する土地利用である居住抑制地区の導入(規制化)は困難であることが判明したものの,土地の低密度化による地区の安定化を図るための知見が得られた。
著者
大原 一興 藤岡 泰寛 江水 是仁
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.179-188, 2020 (Released:2020-06-01)

山間にある長野県阿智村清内路集落では,集落中心部には耕地が確保できないため,日当たりの良い斜面の高地に耕作地を求め,そこに夏の間一定期間過ごす「出作り」をしてきた。この風習の現代的な継承のために,経験者による「語り部」の可能性とエコミュージアムの仕組みが考えられる。現在では本来の出作りも語り部もほとんど消滅している。この数年の出作りの家の動向について記録しリストを再整理し,とくに山の家と里の家の距離やコミュニティ関係など,二拠点居住のもつ意義についても考察した。また,その地域文化の伝承を進めるために語り部に対するエコミュージアムの役割についても考察した。
著者
松田 まり子 伊志嶺 敏子 清水 肇 中本 清 平良 啓 金城 優
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.273-282, 2020

「蒸暑地域の住まいのあり方を『外皮』概念の見直しを通じて提起する」 建築物省エネ法に基づく省エネ基準に対して建築設計者の活動団体である「沖縄の気候風土適応住宅連絡推進会議」(連絡会議)は,蒸暑地域の住まいづくりの原則を示し,省エネ施策の改善を求める活動を行ってきた。住宅の外部から内部までの多様な要素で熱を制御し風を活用する遮熱,湿度対策などは,外皮基準と異なった考え方による住まいづくりの方法である。連絡会議は沖縄の気候風土に適した住まいづくりの考え方の十原則を公開研究会で提示し,提言を作成し,沖縄県や国土交通省に意見を伝える活動を行った。この間,国土交通省が沖縄県での冷房期の平均日射熱取得率の数値の見直し案を示すなど,国の対応の展開も見られた。
著者
須永 修通 小野寺 宏子 熊倉 永子 荻野 司
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.83-94, 2019

現在,集合住宅はわが国の都市居住形態の中心をなす存在となっているが,その室内温熱環境に関する研究例は戸建住宅に比べて少なく,さらに,蒸暑地域(気候区分7,8地域)における調査例はごく僅かである。一方,筆者等の研究で東京多摩地域の集合住宅において熱中症の危険度が高いことが明らかになり,東京以西の集合住宅における危険性が危惧された。本研究では,高知,沖縄の集合住宅を対象として調査を行い,夏季冬季の室内温熱環境の実態データ(室内温湿度や居住者の意識・温熱感覚など)を得,既往研究のデータも合わせてその特徴や熱中症の危険性について明らかにした。また,各地域の気候に適した改善手法について検討・提案した。