著者
長谷川 純一 森 健策 鳥脇 純一郎 安野 泰史 片田 和廣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1587-1594, 1993-08-25
被引用文献数
57

本論文では,スライス間隔1mmで撮影された高精度連続胸部CT像から3次元画像処理を用いて肺がん候補領域を自動抽出する試みについて述べる.ここでは,限局性の異常陰影(SR)を対象とし,3次元形状特徴の違いに基づいてそれらを他の陰影(主に血管影)と識別する手順を開発した.実際の処理手順は大きく二つのステップ:(1)肺野領域の切出し,および,(2)SR抽出,からなる.本論文では,これらの処理をしきい値処理,3次元図形融合(または,3次元距離変換),3次元スケルトン化などの基本手法を組み合わせた比較的簡単な手順で実現し,実際の肺がん症例を用いてその有効性を示す.本研究は,3次元画像処理の有効性を実用上十分な精度の3次元CT像で検証した最初の試みとして,その意義は大きい.