著者
梶田 健史 山守 一徳 長谷川 純一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.1736-1744, 1996-09-15
被引用文献数
32

スペースの限られたポスターやパンフレットなどにしばしば使われるデフォルメ地図(意図的な変形をともなう略地図)は 単に地図情報の伝達だけでなく人間の感性やデザイン感覚を表現するメディアとしても大変興味深い. 本論文では このようなデフォルメ地図を自動生成するシステムについて述べる. 本システムの道路変形手順は認知地図の分野における「交差点の直交化」という心理モデルに基づく. また 道路変形にともなうランドマークの移動・変形にはfield morphingの手法を利用する. 最後に 本システムの有効性を実際の道路地図を用いた実験で示す.Deformed maps used often in posters and leaflets with limited space are very interesting media not only for guidance of particular locations, but also for representation of the designer's sensitivity. This paper presents a prototype system for automated generation of a deformed map from a real map. A road deformation procedure developed here is based on a psychological model called "road orthogonalization at intersections" in the field of cognitive map. Landmarks in the map are rearranged according to the results of road deformation results using the field morphing technique. In the paper, the results of application to practical map data will be shown with promising results.
著者
瀧 剛志 長谷川 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1802-1811, 1998-08-25
参考文献数
13
被引用文献数
38

本論文では, チームスポーツにおける集団行動を映像に基づいて定量的に評価するための基本的な特徴量について検討する.ここで提案する特徴量は, 集団動きの中で各個人がつくる一種の勢力範囲である.本論文では, これをボロノイ領域の一つの拡張として定式化し, 人間の近似的な運動モデルを用いた具体的な計算方法を示す.この勢力範囲を実際にサッカーゲームにおける種々の行動評価に応用し, チームワークをボールの受け渡しスペースを維持するための動きであると限定的にとらえれば, その定量化が可能であることを実験的に示す.
著者
遠藤 守 宮崎 慎也 山田 雅之 長谷川 純一 安田 孝美 横井 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.352, pp.41-46, 2003-09-30
被引用文献数
1

物理シミュレーションによる自発的な動作生成はコントロールが難しく,CGゲームをはじめとするアミューズメントの分野では,コントロールが容易なルールベースの動作生成の方法が好んで用いられている.しかしながら,物理シミュレーションの予測困難な動作はうまく利用すれば新しいゲーム性を見出せる可能性を秘めている.そこで本研究では,物理シミュレーションのアミューズメント分野への応用として,柔らかい弾性と崩壊の性質を有する仮想物体(ふわふわ物体)をフォースフィードバック付ジョイスティックでうまく力を加えながら玉入れ操作ができる対話システムを作成した.「街の中メディア祭」と呼ばれるイベントに出展し一般の人に操作を体験してもらったので,その結果についても報告する.
著者
長谷川 純一 森 健策 鳥脇 純一郎 安野 泰史 片田 和廣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1587-1594, 1993-08-25
被引用文献数
57

本論文では,スライス間隔1mmで撮影された高精度連続胸部CT像から3次元画像処理を用いて肺がん候補領域を自動抽出する試みについて述べる.ここでは,限局性の異常陰影(SR)を対象とし,3次元形状特徴の違いに基づいてそれらを他の陰影(主に血管影)と識別する手順を開発した.実際の処理手順は大きく二つのステップ:(1)肺野領域の切出し,および,(2)SR抽出,からなる.本論文では,これらの処理をしきい値処理,3次元図形融合(または,3次元距離変換),3次元スケルトン化などの基本手法を組み合わせた比較的簡単な手順で実現し,実際の肺がん症例を用いてその有効性を示す.本研究は,3次元画像処理の有効性を実用上十分な精度の3次元CT像で検証した最初の試みとして,その意義は大きい.
著者
梶田 健史 山守 一徳 長谷川 純一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.337-338, 1993-09-27
被引用文献数
1

スペースの限られたパンフレットや広告では,デフォルメ(変形)された道案内地図がよく使われる。しかし,これらのデフォルメ地図は,単に物理的制約を満たすためというより,むしろ表現の簡潔さや美しさにその価値を求めて作成されることが多い。また,デフォルメ地図はスケッチを利用したマンマシンインターフェースの観点からも大変興味深い。しかし,位置関係に矛盾が生じない範囲で道路などを変形させる一般的手法がないこと,地図の見やすさや美しさの基準は人間の主観によるところが大きいことなどのため,実際のデフォルメ地図はすべて手作業で作成されているのが現状である。そこで我々は,デフォルメ地図を自動生成するシステムの開発に着手した。今回我々が対象とするのは,道路地図のデフォルメである。ベクトルデータで構成された道路地図の線構造に注目し,交差点間の位相関係に矛盾が生じない程度に変形を加えることで,デフォルメ道路地図を作成するシステムの開発が今回の目標である。本稿では,実際のデフォルメ地図に対する調査と分析の結果と道路のデフォルメのための手法(水平垂直化,平坦化)について説明し,最後に実際のデータを用いた予備的な実験の結果を報告する。
著者
海渡 麻美 渡邉 絵美 中 貴俊 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也 長谷川 純一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.54-67, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文では,変位情報を用いて制作したVRアプリケーションとして,紙相撲をテーマとした対戦型の実装例を2件提案する.はじめに,プレイヤの跳ぶ行為を入力データとし,ディスプレイ上に表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.つづいて,このシステムに対する評価実験の結果を反映させ,プレイヤが水を揺らす行為を入力データとし,水に浮かぶスクリーンに表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.両システムとも,距離を測るセンサを用いて,プレイヤが入力装置に与える動作を変位情報として取得し,システム内のインタラクション処理に利用している. この直感的かつ堅牢なインタラクションモデルを用いることで,新たな体感型VRアプリケーションを実現することができた.
著者
稲葉 洋 瀧 剛志 宮崎 慎也 長谷川 純一 肥田 満裕 山本 英弘 北川 薫
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.94-100, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4
被引用文献数
4 6

本論文では,スポーツ動作分析の支援を目的とした人体センシング情報の可視化提示法とその応用例について述べる.スポーツにおける打撃動作や投球動作の分析では,動作中に得られた筋電位などの運動機能情報を,対応する動作フォーム映像と比較しながら行うことが多い.この作業を支援するため,本方法は,動作中の人物の各要所部位で計測した筋電位値とその変化を,その人物の人体骨格を表す3D モデル上の対応する部位に色の差異として表示し,それを動画アニメーションとして提示する.これにより,利用者は,動作フォームの変化に伴う各筋肉の負荷状態とその時間変化を,視覚的かつ直感的に理解することが可能となる.本方法を,実際にゴルフスゥィング動作とボーリング投球動作に適用し,とくに異なる人物の動作特徴の比較評価が効果的に行えることを示す.
著者
鈴木 茂樹 山田 雅之 宮崎 慎也 長谷川 純一 安田 孝美 横井 茂樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.8-14, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5

運動計算を比較的高速に行える弾性プリミティブ(弾性要素)モデルで構成される仮想弾性物体とのリアルタイムインタラクションを実現する.一般的なボクセルデータ形式の入力形状に対して,大きさの異なる多面体形状の弾性要素を効率良く組み合わせることにより,高速処理に有利な少ない要素数で自由形状の弾性物体モデルを構築する.弾性物体とのインタラクションのための入力デバイスとしてジョイスティックデバイスを用いることにより,フォースフィードバックを伴ったインタラクションが可能である.弾性物体とマニピュレータとの衝突処理においては,幾何学形状をなすマニピュレータと弾性物体の間の物理法則にもとづく衝突処理モデルにより,適切なフィードバックフォースを実現している.
著者
馬場 孝浩 栗木 淳子 木戸 里香 黒田 和子 長谷川 純一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0832, 2005

【はじめに】近年離床の重要性は認識されつつあるが,車椅子座位の弊害は見落とされがちである。また車椅子座位時間の管理やクッション使用などの車椅子設定への配慮は,各ケースに応じて充分されていないのが現状ではないか。今回の研究目的は,車椅子座位が褥瘡や浮腫の発生に与える影響を調べることである。<BR>【対象と方法】介護療養型医療施設に入院中の患者で,普通型車椅子を使用している42名,83足(男性20名,女性22名,平均年齢75.0±10.8歳,主疾患はCVA40名,他2名)を対象とした。調査項目は殿部褥瘡の有無(IAET分類のstage1以上を有り),座位姿勢の崩れの有無と姿勢修正の可否(廣瀬らの簡易座位能力分類),車椅子用クッション(ウレタン,空気室構造など)の有無,浮腫の有無(夕方足背部に圧痕が残るか否か),麻痺の有無,最長車椅子座位時間(以下LS),総車椅子座位時間(以下TS)とした。LSとTSは,平日と休日のそれぞれ1日ずつ6時から21時まで30分ごと車椅子座位かどうかを確認して算出し,週間生活を考慮して平日の5倍と休日の2倍の和を7で除した値を用いた。統計解析は,まず褥瘡の有り群と無し群のLS,TSをそれぞれMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。次に褥瘡の有無を目的変数,年齢,座位姿勢,姿勢修正,クッションの有無,LS,TSを説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。座位姿勢と姿勢修正,LSとTSには強い相関があったため,多重共線性に配慮して座位姿勢とTSは説明変数から除いて分析した。さらに浮腫の有無を目的変数,年齢,麻痺の有無,TSを説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。統計ソフトはSPSS for windows Ver12.0Jを用い,有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】LS,TSは褥瘡有り群(10名)で9.4±3.5時間,11.1±2.5時間,無し群(32名)で7.4±4.3時間,9.7±3.2時間であり,ともに有り群で有意に長かった(p<0.05)。ロジスティック解析の結果,褥瘡の有無に従属する有意な変数として,クッション(オッズ比OR=6.04,p<0.05),座位姿勢(OR=5.76,p<0.05),TS(OR=1.31,p<0.05),LS(OR=1.23,p<0.05)が認められた。浮腫の有無に従属する有意な変数として,麻痺(OR=3.76,p<0.05),TS(OR=1.30,p<0.01),年齢(OR=1.07,p<0.05)が認められた。<BR>【考察】結果より,褥瘡と浮腫双方の発生に影響するのは座位時間であった。よって,褥瘡や浮腫の予防には適宜臥床を取り入れる必要性が示唆された。褥瘡発生には座位時間に加え,クッションの有無と座位姿勢の崩れが影響していることがわかった。PTは褥瘡予防のためにクッションや体幹・骨盤サポートなどの使用を,早期から検討すべきと考えられた。本研究では褥瘡の原因を車椅子座位の影響に限局し検討したが,臥床時の影響も含めて検討することは今後の課題である。
著者
折田 三弥彦 長谷川 純一 鳥脇 純一郎 金崎 守男 高藤 政雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.105-113, 1988-02-15
被引用文献数
2

処理手法に関する知識だけを用いて手順を推論する画像処理手順のプロタ"クションシステムを提案する.すなわち 画像の特徴を大局的データベース 処理手法に関する知識をプロタゥクションルールとして各々対応付けるものであるまた 手順推論の高速化および柔軟性の向上を目的として 問い合せによる会話型評価と特徴例示による自動評価とを融合させる方式を採用した.実例を引用して本方法を考察したところ 知識ベースの簡単化 あるいは推論の柔軟化が図れるものと期待できる.さらに本方法に基づき 部分的ではあるがモデルシステムを試作 評価したところ 画像処理エキスパートをより実用レベルに近づけられることが確認できた.
著者
長谷川 純一
出版者
Japanese Society for Medical Virtual Reality
雑誌
VR医学 (ISSN:13479342)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.21-29, 2002

In this paper, the present state and the future of virtual endoscopy (VE) are stated. VE is a system which can generate endoscopic images of inner organs only using 3D CT images of a real human body. This new diagnostic tool has advantage that can be applied to patients without pain, and that enables us to observe the state of inner human body from any position and direction. Usually, VE should have several basic functions including rendering, segmentation, measurement and user interface. Recently, some advanced functions for abnormal lesion detection, simultaneous display of real and virtual endoscopic images and organ deformation with force feedback have been also investigated. VE can be applied to many fields including diagnosis, surgery and medical education, and some systemd have already been in clinical use.
著者
濱田 敏弘 清水 昭伸 長谷川 純一 鳥脇 純一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1937-1947, 2000-07-15
参考文献数
23
被引用文献数
8

本論文では, 画像内に特定の図形が含まれているかどうかを判定する画像処理手順を, ユーザの与えた誤判定率に関する条件を満たすように自動構成する一方法と, それを用いた新しい画像処理エキスパートシステムIMPRESS-Proを提案する.このシステムは, あらかじめ具体的なアルゴリズムやパラメータが未定の処理系列を用意し, それを構成する各局所処理を誤判定率の条件から推定された要求精度に基づいて逐次的に決定する.本論文では, このシステムをLSIパッケージ表面上の欠陥抽出手順の自動構成問題に適用した結果を示し, システムの可能性と限界について考察する.
著者
稲葉 洋 瀧 剛志 宮崎 慎也 長谷川 純一 肥田 満裕 北川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.433, pp.37-42, 2005-11-17
被引用文献数
5

本論文では, スポーツ動作分析の支援を目的とした人体センシング情報の可視化提示法について述べる.スポーツにおける打撃動作や投球動作の分析は, 筋電位などの運動機能情報を動作フォーム映像と比較しながら行われることが多い.本方法は, 動作中の人物の各要所部位で計測した筋電位値を, 人体骨格を表す3Dモデル上に色の差異として表示し, それをアニメーションとして提示する.これにより, 動作フォームの変化に伴う各筋肉の負荷状態とその時間変化を, 視覚的に理解することが可能となる.
著者
原口 朋比古 瀧 剛志 長谷川 純一
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.565-571, 2011-04-01
被引用文献数
1

This paper presents a system based on the control of PTZ cameras for automated real-time tracking of individual figure skaters moving on an ice rink. In the video images of figure skating, irregular trajectories, various postures, rapid movements, and various costume colors are included. Therefore, it is difficult to determine some features useful for image tracking. On the other hand, an ice rink has a limited area and uniform high intensity, and skating is always performed on ice. In the proposed system, an ice rink region is first extracted from a video image by the region growing method, and then, a skater region is extracted using the rink shape information. In the camera control process, each camera is automatically panned and/or tilted so that the skater region is as close to the center of the image as possible; further, the camera is zoomed to maintain the skater image at an appropriate scale. The results of experiments performed for 10 training scenes show that the skater extraction rate is approximately 98%. Thus, it was concluded that tracking with camera control was successful for almost all the cases considered in the study.
著者
荻野 雅敏 瀧 剛志 北島 章雄 尾倉 芳昌 宮崎 慎也 長谷川 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.390, pp.31-35, 2004-10-21
被引用文献数
1

ボブスレーは滑走コースを利用できる期間が冬季に限定されるため、シミュレーターを利用したトレーニングの実現に大きな期待が寄せられている。そこで、本研究では6軸電動アクチュエータ式の動揺装置(モーションベース)と4面構成の大型スクリーンを併用したVR装置を用いて、長野市にある実在のコースを模擬して作成したコースデータ上において、ボブスレーの滑走シミュレーションを実現した。動的物理シミュレーションと空間制約条件を併用することにより円筒状の氷上コースでの高速滑走の運動を生成する。動揺装置の運動制御は、ボブスレーの運動生成結果に基づいて決定される。
著者
小畑 秀文 小場 弘之 西谷 弘 長谷川 純一 山本 眞司 鳥脇 純一郎 松本 徹
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では日本人に多い胃がんと肺がんに焦点をあわせ、既に整備済みのマンモグラムデータベースと併せて、主ながん検診用画像のデータベース化の整備を行うことを目的としている。本研究は2年度にわたるが、この間に整備されたデータベースについて以下にその概要を述べる。胃X線二重造影像:本データベースは診断の難易度や病変の種類などのバランスがとれるように選別されたFCR像76枚から成る。このうち65枚が異常陰影を含む。胸部CT像:本データベースでは、肺がん検診に利用されるスライス厚10mmのものと、精密な検査に用いられるより薄いスライス厚のもの2種類を含む。肺がん検診用は症例数70症例であり、25症例が肺癌症例である。精密検査用については、症例数7症例で、いずれも肺癌症例である。胸部単純X線像:本データベースは間接撮影像50症例、直接撮影像50症例から成る。工学サイドの利用者であっても、一般的には撮影法やその読影法の基礎もわからないのが普通である。そのため、アルゴリズムの組立てに助けとなるように、それらに関する解説を用意したり、専門医のスケッチ画や診断所見を各画像ごとに与えるように努めた。