著者
方 容泰 宋 兌燮
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究学会年報 (ISSN:13480464)
巻号頁・発行日
no.10, pp.25-34, 2004-09-30

韓国ベンチャーのグローバル化の第一歩として、日本市場への進出を念頭に置き、現地市場で事業活動をうまく行い、よい実績を上げるためには、現地のベンチャーの成功方程式を分析する必要があるであろう。本研究は、知彼知己の観点から韓国ベンチャーと日本ベンチャーのそれぞれの強弱点を把握し、韓国ベンチャーの日本市場進出における示唆を導き出すことをその目的とした。両国ベンチャーに対する回帰分析の結果は次の通りである。外部環境は力動性と敵対性という2次元を取り上げたが、力動性は韓国ベンチャーの成果に、敵対性は日本ベンチャーの成果に、それぞれ肯定的影響を及ぼしている。企業スタイルの前向き性がもつ影響力は、その統計的有意性が充足されていない。組織力量には新製品の急進的導入能力、外部資源活用能力、知識資産活用能力という3次元が設定されたが、両国ベンチャーに共通的に影響したのは新製品導入能力である。外部資源活用能力は韓国ベンチャーの成果に負(-)の、知識資産活用能力は日本ベンチャーの成果に正(+)の影響をそれぞれ及ぼしている。マーケティング差別化戦略は日本ベンチャーに否定的影響を働きかけており、韓国ベンチャーの成果とは関係ないことが判明した。こういう分析の結果から導き出される示唆は次の通りである。日本ベンチャーの成果にもっとも大きな影響を及ぼしたのは新製品の急速な導入能力である。韓国のベンチャーは国内市場ですでに新製品の導入を迅速に行う能力を発揮しているが、日本市場に進出して既存製品・技術のアップ・グレードは言うまでもなく、代替機能を持つ新製品の開発に注力すべきである。知識資産の活用能力においては、特許権を確保できるほどの高い水準の知識を創出するよう努力しなければならない。また、知識の特許化にかかる費用がベンチャーには少なくない負担となるが、技術的優位の確保には不可欠である。マーケティング差別化戦略の重要性も特記に値する。販促活動、流通チャンネル活用、広告などの側面で他社との差別性を顧客に刻印させることができなかったことが、日本ベンチャーの全般的な脆弱点として露呈されている。韓国のベンチャーも国内市場でマーケティング戦略に問題点をもっているので、環境の異なる日本市場への進出においては、一層の格別な努力を傾注しないと、散々な失敗に終わる恐れがあるであろう。最後に、環境の敵対性が日本ベンチャーの成果に関係することにも注意を払うべきである。韓国ベンチャーは国内市場環境の力動性に適応してニッチ・マーケットを追求することに強みを発揮している。日本市場ではそれに基づく市場地位の確保が一段落してからは、全面的な競争という敵対的環境の中で生き残るための手段をとらなければならないであろう。