著者
李 勝馥 黄 錫鎬 宋 斗三
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.99, pp.19-30, 2005-06-05
被引用文献数
1

本論文は、最近の韓国における急速な冷房普及による夏季の電力需給の問題、冷房用エネルギー増加に伴う環境問題などへの対策として、オンドルを利用した床放射冷房システムの有効性を検討することを目的としている。検討対象の床放射冷房システムは、韓国のほとんどの住宅に暖房用として設置されているオンドルシステムを活用して、温水に代わって冷水を流すことにより室内を冷すことを基本とする。本システムは、韓国の住宅における冷房システムの設備費を削減すると同時に、放射冷房の採用による十分な省エネ効果をもたらすものと期待される。高温多湿気候下にある韓国で上記のシステムの利用に当たって、冷却床面での結露問題の解決が必須となる。本研究では、除湿機能を持つ換気システムと併用した床放射冷房システム(換気併用型床放射冷房システム)を提案する。換気併用型床放射冷房システムは、換気目的で取り入れる外気を冷却・除湿することにより室内空気の露点温度を下げ、床面での結露を防止し、その分床表面温度を低くすることを可能にする。さらに、このシステムは、換気と冷暖房を分離することにより、それぞれの目的に合わせた最小の制御量で室内空気・熱環境を快適に維持すること、冷却・除湿機能を持つ換気システムと併用することにより、既存の放射冷房システムの問題点である室内の熱負荷の変化に対する応答性が悪い点を改善して、室温制御性を向上させることを可能にする。本論文は、換気併用型床放射冷房システムの概要を説明し、実験と数値シミュレーションにより、このシステムの室内温湿度制御性を検討した結果を示す。
著者
佐古井 智紀 都築 和代 加藤 信介 大岡 龍三 宋 斗三 朱 晟偉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.126, pp.1-10, 2007-09-05
参考文献数
11

本報では,第1報,第2報の前後,左右,上下に不均一な温熱環境下で得たデータを基に,椅座,定常人体の全身快適感,頭および全身の暑さに伴う不快感,膝先(下腿と足)および全身の寒さに伴う不快感を,局所皮膚温と局所乾性放熱量で表す実験式を提案した.全身快適感の式では,均一に近い条件で快適性が高く,左右,前後の不均一性が強くなると快適性が低くなる.頭および全身の暑さに伴う不快感,膝先および全身の寒さに伴う不快感の式では,「暑さ」または「寒さ」に伴う頭,膝先の不快感が,全身としてはその逆の状態である「寒さ」または「暑さ」によって緩和される.基礎実験と異なる着衣,上下に不均一な条件において検証実験を行った.全身快適感の実験式は,被験者全体の平均値を予測したものの,より詳細に見ると,上下の不均一性を適切に評価できていない点も認められた.頭および全身の暑さに伴う不快感は検証実験においてほとんど見られず,実験式もそれを再現できた.膝先および全身の寒さに伴う不快感は,女性の予測値が高過ぎ,男性の予測値が低過ぎたものの,被験者全体の平均値,および男性,女性,被験者全体,それぞれにおける不快感の順を予測できた.