- 著者
-
都築 和代
水野 一枝
- 出版者
- The Japan Society of Home Economics
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.212, 2004 (Released:2005-04-02)
目的自分で温度制御して快適な環境を作るという実験においては,高齢者と青年の快適だと感じる温度には差を認めていない。そこで安全面を考慮した温熱環境設計を行うには,高齢者の心理反応のみならず,生理的な加齢の変化に関してのデータ集積を行い検討していくことが必要である。そこで,中等度温熱環境においては,欧米人データが示すように日本人高齢者と青年で温冷感に差がないのかどうか,そして,体温調節反応についても同等とみなして良いのかどうかを検討する。方法60歳以上の健康な高齢者と若年者を対象として,冬期に人工気候室において,気温23℃,25℃,27℃,29℃,31℃の5条件を設定し,相対湿度60%,気流は0.15m/s,壁面はカーテンで蔽い,床にはカーペットをひいたので,平均放射温度=空気温とした。着衣はスエット上下と靴下を用意し,被験者はパンツ(青年女子はブラジャーも)の上に着用した(0.63clo)。被験者は椅子座で約180分間,ほぼ安静状態を保った。高齢者100名,青年100名(男女は同数)が参加し,各気温条件につき,各群10名ずつのデータを収集した。結果中立近傍では温冷感に年齢差を認めていないが,高齢者の方が青年に比べ23℃・31℃では中立側に申告していた。また,皮膚温や口腔温は,31℃では高齢者の方が高く,23℃では高齢者の方が低くかったが,体重減少量には差がなかった。年齢による温冷感の変化は,高齢者の皮膚温反応の変化と一致しており,温熱環境の影響を受けやすいことが示唆された。また,夏期データと比較したところ,青年に比べて高齢者は、冬期においては温感受性を低下させ、夏期においては冷感受性を低下させていることを示唆している。