著者
宍戸 穂 矢野 理香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.172-182, 2016-08-20 (Released:2016-09-30)
参考文献数
45

本研究の目的は, 清拭方法, 研究デザイン, 測定方法とそれらに基づく効果にどのような特徴があるかということに焦点をあて, 清拭に関する国内外の先行研究の内容と動向を明らかにすることである. Cooperの統合的文献レビューの方法を参考に行った. 国内文献は医学中央雑誌web版, 海外文献はCINAHL web版およびPub Medを用いて, 「清拭」をキーワードとし, 文献検索を行った結果, 24件の国内文献と9件の海外文献が分析の対象となった. 国内では, 主に健康成人を対象とした新たな清拭方法の検討, 海外では患者を対象に他の清潔援助と比較した清拭の有効性の検証がされていた. 清拭が心身に及ぼす影響として, 清浄度および角質水分量が上昇するが, 皮膚表面温度は清拭方法によって異なること, 対象者の不安や不快を緩和する可能性があることが明らかとなった. しかし, 測定に使用した器具が異なることや尺度が統一されていないため, 清拭方法による効果の差違や主観的評価と客観的評価の関連については明らかになっているとは言えなかった.