著者
吉田 祐子 矢野 理香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.140-147, 2014-08-20 (Released:2016-06-06)
参考文献数
34

本研究の目的は,皮下注射施行前の皮膚消毒の必要性に関する先行研究の内容と動向を明らかにし,今後の課題を検討することである.Cooperの統合的文献レビューの方法を参考に文献検討を行った.PubMed,CINAHL,医学中央雑誌web版で,「注射」,「消毒」,「インスリン自己注射」,「糖尿病」,「インスリン」をキーワードとし,文献検索を行った結果,7件の国内文献と13件の海外文献が分析対象となった.その結果,国内の研究は7件中6件が実態調査であった.日本では,皮膚消毒の実施率は高い傾向にあり,実施の有無には医療者の指導方針が関連すると推測された.海外では,皮下注射前の皮膚消毒と感染の関連性がないことが検証され皮膚消毒を強く推奨していなかった.しかし,消毒不要の適応範囲は曖昧であり,今後,皮膚消毒を省略できる対象者の特性や条件を明らかにする必要がある.
著者
新谷 理恵子 佐藤 三穂 大友 里奈 佐藤 靖 佐藤 隆太 中山 瑛里 大萱生 一馬 奥村 美灯 逸見 奈緒 矢野 理香 髙橋 久美子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20210816139, (Released:2022-01-24)
参考文献数
18

目的:北海道の高度急性期医療を担う病棟看護師がCOVID-19患者の受け入れを開始してからどのような体験をして,どのような心理状況にあったかを明らかにする。方法:病棟看護師13名を対象にフォーカス・グループインタビューを行い質的に分析した。結果:【患者の受け入れ決定に対する葛藤】,【未知で新規の感染症であることに由来するつらさ】,【自分や家族の感染に対する不安】などを経験し,【看護を続ける中で生じるジレンマ】,【患者の看取りに関わる中での複雑な思い】を持っていた。一方で【病院が体制を整えようとしてくれていることへの安心感】,【協働しながら実践できているという思い】,【看護への責任と成長】を感じていた。結論:病棟看護師はつらさや葛藤といった心理状況があった一方で,看護を継続できている思いも持っていた。これらの経験の理解がより良い看護に向けた看護管理体制の整備に重要である。
著者
安田 佳永 矢野 理香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-8, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
26

本研究の目的は, 静脈穿刺における血管怒張手技の怒張効果検証のための実験設計, 測定方法, 実施後の怒張効果に焦点を当て, 血管怒張手技の有効性の研究動向を明らかにすることである. Cooper (1998) の統合的文献レビューの方法を参考に行った. 国内文献は医学中央雑誌web版, 海外文献はCINAHL web版およびPubMedを用いて, 「 (血管AND怒張) AND穿刺」, 「 (血管AND拡張) AND穿刺」, 「 (静脈AND怒張) AND穿刺」, 「 (静脈AND拡張) AND穿刺」をキーワードとし, 文献検索を行った結果, 10件の国内文献と6件の海外文献が分析対象となった. 結果, 80%以上が駆血と温罨法に関する文献だった. 血管怒張手技により, 血管断面積や血管径は大きくなり, 血管の深さは浅くなること, 穿刺成功率は増加し, 針の挿入時間は短縮されることが明らかになった. しかし, 同じ怒張手技でも研究間で実施時間や使用用具などの方法に差異があり, 怒張の程度は異なっていたため, 一概に手技の比較ができないと考えられた.
著者
鷲見 尚己 青柳 道子 矢野 理香
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

我々は、がんから自分の健康を守るための新しいがん教育の方法論について、ピアサポートを活用し児童生徒の視点を重視して開発と評価を行うことを研究目的とした。今回、検討した新しいがん教育の方策は、児童生徒自身が睡眠や食事などの自分自身の生活での問題点、環境要因に関する問題点を見出すことは児童生徒自身のがん予防への関心を引き出し、児童生徒自身のがんに関する知識の向上、健康やがんに関する価値信念、健康行動の向上などの効果を示した。同時に、彼らの家族などの周囲の人々の健康に関する意識と行動を変化させる効果も示された。このことは、コミュニティベースでのがん予防教育につながる新しい知見であると考えられた。
著者
吉田 祐子 矢野 理香
出版者
看護総合科学研究会
雑誌
看護総合科学研究会誌 (ISSN:1344381X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.11-19, 2020-03-31

皮下注射前の皮膚消毒は,複数の先行研究により必要ないことが検証されているが,日本では標準的な手順として浸透している。そこで,本研究では,日本でなぜ皮下注射前の皮膚消毒が実施されているのかその背景を検討するために,看護技術書における皮下注射前の皮膚消毒に関する記載の実態について明らかにすることを目的とした。インターネットで看護技術に関する書籍検索を実施し,内容を精査した結果,選定基準に合致した書籍は28冊であった。これらの書籍では,皮下注射前の皮膚消毒は必要であると記載されていたが,そのうち3冊は,皮下注射前の皮膚消毒の必要性がないことを検証した先行研究についても紹介していた。消毒が必要との根拠となる論文の引用はどの書籍にもなかった。日本での皮膚消毒の実施率が非常に高い背景の一つとして,多くの技術書において,消毒の必要性の有無に関する根拠の記載が十分ではないことがあると考えられた。
著者
宍戸 穂 矢野 理香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.172-182, 2016-08-20 (Released:2016-09-30)
参考文献数
45

本研究の目的は, 清拭方法, 研究デザイン, 測定方法とそれらに基づく効果にどのような特徴があるかということに焦点をあて, 清拭に関する国内外の先行研究の内容と動向を明らかにすることである. Cooperの統合的文献レビューの方法を参考に行った. 国内文献は医学中央雑誌web版, 海外文献はCINAHL web版およびPub Medを用いて, 「清拭」をキーワードとし, 文献検索を行った結果, 24件の国内文献と9件の海外文献が分析の対象となった. 国内では, 主に健康成人を対象とした新たな清拭方法の検討, 海外では患者を対象に他の清潔援助と比較した清拭の有効性の検証がされていた. 清拭が心身に及ぼす影響として, 清浄度および角質水分量が上昇するが, 皮膚表面温度は清拭方法によって異なること, 対象者の不安や不快を緩和する可能性があることが明らかとなった. しかし, 測定に使用した器具が異なることや尺度が統一されていないため, 清拭方法による効果の差違や主観的評価と客観的評価の関連については明らかになっているとは言えなかった.
著者
矢野 理香 森下 節子 岩本 幹子 中澤 貴代 良村 貞子
出版者
看護総合科学研究会
雑誌
看護総合科学研究会誌 (ISSN:1344381X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.3-14, 2005-10-26

本研究の目的は、看護過程の理論的枠組みと実践の統合を目指した帰納的な教授方略の効果を明らかにすることである。授業の展開;1年次、学生は右半身麻痺のある事例に、技術を実践して、ロールプレイをし、VTRを作成した。また技術が対象者にとって安全・安楽であったかを客観的に評価した。2年次、学生はこの学習を想起し、看護過程の理論的枠組みについてグループワークをした。研究対象;本看護学科2年次の学生80名。研究方法;授業評価アンケートを実施し、度数分布を算出した。また学生に、授業から理解できたことについてレポートを記述してもらった。その内容を類似する内容に分類してカテゴリを抽出した。結果・考察;アンケートの結果、80%以上の学生が授業は有益であったと回答していた。レポートでは、【実践をもとにした理論の理解】【看護過程と各理論の関連性】【理論をもとにした実践の評価】【看護過程と相互作用・コミュニケーションの関連性】の4つのカテゴリが抽出された。以上から、帰納的な教授方略は、理論と実践の統合を深める点で有効であったと考えられた。Purpose; The purpose of this study is to clarify the effect of the inductive learning strategy that aims at the integration of the theoretical framework for nursing process and practice. Class structure; First-year nursing students role-played simulations involving a case of right hemicorpus paralysis. They practiced skills they had already learned and taped their group's demonstrations, then evaluated them objectively. In second year they continued their studies into the theoretical framework of nursing process through group work. Methods; The sample consisted of 80 second-grade nursing students from a junior college. The students reported their understanding obtained through the class. Those contents were classified by similarities of contents and categorized. The authors reviewed the class evaluation questionnaire and calculated the frequency distribution of each item. Results and discussion; From the contents of the reports, the following four categories were obtained. 1.Relation between nursing process and each theory, 2.Understanding of theory based on practice, 3.Evaluation of practice based on theory, 4.Relation between nursing process, interaction and communication. In the questionnaire, more than 80 percent of the students answered that the class was useful. The authors therefore consider that the inductive learning strategy was effective in deepening integration between theory and practice.
著者
鳥谷 めぐみ 矢野 理香 菊地 美香 小島 悦子 菅原 邦子
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-23, 2002-03-31
被引用文献数
1

The purpose of this study was to identify the types of touch and to describe the meaning of touch in the context. The subjects were 3 cancer patients and 10 nurses in the palliative care unit. The data was collected from the participant observation of patients and nurse in the care unit, semi-structured interview to the nurse about the scene, which a touch arose in. These data were analyzed by the qualitative and inductive approach. The findings were as follows. 1. The touch was classified by eight types; 'the touch which aimed at the working', 'the touch for the confirmation', 'the touch to give a comfort', 'The touch to keep safety', 'the touch to support patient's independence', 'the touch of sign', 'the touch reaches to feeling', 'the touch, instead of the word'. 2. From this study, interview method was important to interpret the meaning of