- 著者
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宗本 義則
- 出版者
- 日本腹部救急医学会
- 雑誌
- 日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.6, pp.965-970, 2013-09-30 (Released:2014-01-10)
- 参考文献数
- 20
要旨:大腸穿孔は予後不良の疾患である。1991年1月から2013年4月までに当科で経験した大腸穿孔症例143例に対し患者背景,病態,予後などを検討し当院での治療戦略が妥当か,予後不良群の特定ができるか検討した。術後28日までの死亡例は22例(15.2%)であった。男性8例,女性14例,平均年齢は79歳(44歳~96歳)であり,既往並存疾患が20例(90.5%)であった。生存群と比較して,女性,高齢者(80歳以上),何らかの既往歴があり,穿孔原因が特発性,虚血性,穿孔部位が右側結腸,ショックをともなっている,および術後に人工呼吸器が必要になるような肺合併症がある症例の予後が不良であることが分かった。多変量解析では年齢,ショックの有無,穿孔部位,既往歴,虚血性の項目に有意差がみられ,なかでもショックの有無が予後に最も関与していた。予後不良群に対しては,今後抗ショック療法やPMX-DHPなどのさらなる集中治療が必要である。