著者
定点滞空飛行試験実験隊
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-428, 2007-03

成層圏プラットフォーム飛行船の鍵となる技術を実証すると共に、各種ミッション試験を実施すべく、定点滞空試験機の飛行試験を実施した。定点滞空試験機は、全長68 m の無人飛行船であり、遠隔操縦または自律で飛行する。試験機は合計8 フライト飛行、最後の3 フライトでは、自律による定点滞空飛行を実施、約900 m と2 km の高度に於いて地球観測ミッションに成功、4 km 及び4 km 近傍の高度に於いて通信放送ミッションに成功した。本稿では、定点滞空試験機の開発及び定点滞空飛行試験について: 1) プロジェクトの概要; 2) 系統ごとの試験システムの構成及び関連する開発試験、追跡管制系との噛み合わせ試験; 3)飛行試験計画から実施に至る、飛行試験実施作業; 4) 第一段階から第三段階の各飛行の概要及び系統毎の結果を含む飛行試験結果、について報告する。ハイテク膜材製の試験機船体構造は、試験期間中健全であり、安全な運用に供し得ることが確認された。熱浮力制御は、実飛行状態で海面から4 km の高度まで有効であった。定点滞空精度は設計要求内であり、飛行誘導制御則が妥当であることが確認された。以上、目的は総て達成され、定点滞空飛行試験は成功裡に終了した。