著者
長嶋 長節 竹宮 隆 樋口 雄三 宜保 美恵子 岡井 治
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.173-182, 1974

毛細血管血流に関する新しい理論と指プレチスモグルフィによる実験とから組織に流入する動脈血量と毛細血管に把握される血液量との間に相反性関聯をみとめた。また理論的にPlasma skiming (A. Krogh)および毛細血管ヘマトクリット減少性(Fahraeus-Linquist)更にヘマトクリット恒常性を解明した。実験的に血圧動揺性高血圧では相反性関連はみとめられず, 固定型にはみとめられた。また最小血圧は変らないで最大血圧の動揺する血圧動揺型高血圧で血圧上昇時に皮膚および骨格筋の異常な血流減少と下降時に異常な血流増大をみとめた。後者はI.H. Pageの所見と一致する。この循環機序として細動脈より半径の大きい中ないし小動脈に発生するいわゆるbeads like vasomotionを想定した。皮膚の反応性充血による血流増大の一部はアトロピンによって抑制されるのであるが, 上記の血流増大の一部はアトロピンによって抑制される(Page)。これらを総合して上記の血流減少はvasomotionによる血管収縮, また血流増大はその虚血に起因する反応性充血の血流増大であると理解した。