著者
氷見山 幸夫 実 清隆
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.99-110, 1988-05-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
67
被引用文献数
1 1

土地利用は地理学の重要なテーマの一つであり,研究の歴史も古い。しかし,本邦の地理学界においては,それは都市地理学や農村地理学等に付随して扱われることが多く,土地利用学としての発展は遅れていた。また土地利用が他分野で扱われる機会が増え,拡散しまとまりを欠く事態となり,関連研究の集約・整理と,より良い国土利用を目指しての研究の方向づけと振興が求められていた。そうした背景の下で, 1985年10月に日本地理学会に土地利用研究グループが設置され,更に1987年8月には国際地理学連合主催・日本地理学会後援の土地利用国際会議が旭川・札幌で開催され,多大の成果をあげた。本稿はこれらの成果を基に,本邦における1980年代の土地利用研究を概観し,各研究課題の位置付けと問題点を明らかにし,今後の研究のあるべき方向を提示するものである。
著者
実 清隆
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.21, pp.p133-144, 1993-03

ニューヨークは世界の一大商業センターとして発展が著しく、1970年代の情報化時代を迎え、マンバッタン区のミッドタウンを中心に、一層の高層化を狙った再開発事業が急ピッチで進んでいる。一方、その開発の影で、ジェントリフィケーションという名の下で、ダウンタウンやブロンクス、ブルックリンなどの老朽化した住区での再開発事業が、黒人やヒスパニック等のマイノリティの住居を奪いホームレスや犯罪の増加を招いたり、ニューヨーク市財政の破綻を招いている。当論文は斯様な問題の社会・経済的背景を考察する。