著者
杉山 慶太 森下 昌三 野口 裕司 伊藤 喜三男 室 崇人 渡邉 春彦 早坂 良晴 浜田 佳子 嘉見 大助
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究報告 = Research bulletin of the National Agricultural Research Center for Hokkaido Region (ISSN:13478117)
巻号頁・発行日
no.190, pp.1-19, 2009-03 (Released:2011-03-05)

「TC2A」は、渡辺採種場育成の「BHA」と北農研育成系統の「北海1号」を交配して得られたF1品種であり、2006年に北海道の優良品種に採用され、2007年に品種登録出願(第19817号)された。「TC2A」の特性は、主要品種の「えびす」と比較して以下の通りである。1. 主枝は13節前後までは節間が詰まり、短節間性の草型を示す。しかし、それ以降は徐々に伸長して普通草型となる。また、側枝の発生は少ない。低節位の節間長は高温度条件下で伸長しやすくなる。2. 雌花と雄花の開花は早く、果実は株もと近くに着果する。3. 果実の大きさは1.8~2.0kgであり、果形は果実の先端が凸となる偏円から心臓形である。果実表面には極浅い溝があり、果皮の地色は濃緑で、灰緑のすじ模様がある。また、花落ち痕は小さく、果皮の硬さは同程度である。果肉色は濃黄~橙黄色で、果肉は厚い。果肉の質は粉質であり、粉質度の指標となる乾物率は20~30%である。また、Brixは高い。4. 密植栽培で総収量は同等以上であり、規格内収量も多い。5. 主枝の摘心は不要であり、定植後に整枝・誘引を行わない放任栽培ができる。また、株もと近くの着果により収穫作業が容易であり、短い時間で収穫できる。6. うどんこ病に対する抵抗性は、幼苗での接種検定では「えびす」よりやや強い。圃場での発病時期は同じであるが、株もとの茎葉の枯れ上がりが早い傾向がある。