著者
杉山 慶太 阿久津 雅子
出版者
北海道農事試驗場北農會
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.150-154, 2009 (Released:2011-03-05)

スイカの花粉の保存には温度が最も影響しており、冷凍条件が重要であった。また、酸素は花粉の保存に対して阻害要因であり、窒素や二酸化炭素は花粉の活性を維持する効果が認められた。スイカの軟X線照射花粉(部分不活化花粉)を真空専用袋に入れて脱気後窒素を封入し、-25℃で冷凍することにより1年以上の保存が可能である。この花粉の授粉により対照花粉と同程度の種なしスイカが生産できる。
著者
杉山 慶太 菅野 紹雄 森下 昌三
出版者
園藝學會
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.108-116, 1999 (Released:2011-03-05)
著者
杉山 慶太 菅野 紹雄 森下 昌三 岩永 喜裕
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.108-116, 1999-01-15
被引用文献数
1

耐裂果性スイカの果皮特性を明らかにすることを目的として, 果皮の硬い品種と柔らかい品種の果皮の組織・細胞構造を調査した.また, 果皮の柔らかい栽培品種'紅こだま', 果皮の硬さが中程度の品種'嘉宝', アフリカ西部から導入した野生種で果皮の硬い系統'Africa 22857'など, およびその交雑後代を材料として果皮の硬さの遺伝と組織・細胞構造との関係を調べた.1. 果皮の硬い品種, F_2, BC_1個体は, 果皮の柔らかい品種, F_2, BC_1個体に比べて緑色組織が厚い傾向があった.また, 表皮から約2000μmまでの細胞は小さくて丸味があり, 単位面積当たりの細胞数が多いことが明らかとなった.緑色組織の内側に存在する厚壁細胞は果皮の硬い品種, F_2, BC_1個体では層状に厚く存在し, 一方果皮の柔らかい品種, F_2, BC_1個体では観察されないかまたは層数が少なかった.2. 細胞壁の厚さと果皮の硬さとの関係は認められなかった.3. '紅こだま'と'Africa 22857'を交雑親とし, このF_1, F_2およびBC_1の果皮硬度を調査したところ, 果皮の硬さは柔らかい側に部分優性遺伝した.4. 果皮の組織・細胞構造は遺伝的特性であり, 果皮の硬い'Africa 22857'の組織・細胞構造がF_2, BC_1個体からも観察された.
著者
杉山 慶太 森下 昌三 野口 裕司 伊藤 喜三男 室 崇人 渡邉 春彦 早坂 良晴 浜田 佳子 嘉見 大助
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究報告 = Research bulletin of the National Agricultural Research Center for Hokkaido Region (ISSN:13478117)
巻号頁・発行日
no.190, pp.1-19, 2009-03 (Released:2011-03-05)

「TC2A」は、渡辺採種場育成の「BHA」と北農研育成系統の「北海1号」を交配して得られたF1品種であり、2006年に北海道の優良品種に採用され、2007年に品種登録出願(第19817号)された。「TC2A」の特性は、主要品種の「えびす」と比較して以下の通りである。1. 主枝は13節前後までは節間が詰まり、短節間性の草型を示す。しかし、それ以降は徐々に伸長して普通草型となる。また、側枝の発生は少ない。低節位の節間長は高温度条件下で伸長しやすくなる。2. 雌花と雄花の開花は早く、果実は株もと近くに着果する。3. 果実の大きさは1.8~2.0kgであり、果形は果実の先端が凸となる偏円から心臓形である。果実表面には極浅い溝があり、果皮の地色は濃緑で、灰緑のすじ模様がある。また、花落ち痕は小さく、果皮の硬さは同程度である。果肉色は濃黄~橙黄色で、果肉は厚い。果肉の質は粉質であり、粉質度の指標となる乾物率は20~30%である。また、Brixは高い。4. 密植栽培で総収量は同等以上であり、規格内収量も多い。5. 主枝の摘心は不要であり、定植後に整枝・誘引を行わない放任栽培ができる。また、株もと近くの着果により収穫作業が容易であり、短い時間で収穫できる。6. うどんこ病に対する抵抗性は、幼苗での接種検定では「えびす」よりやや強い。圃場での発病時期は同じであるが、株もとの茎葉の枯れ上がりが早い傾向がある。