著者
宮入小夜子
出版者
日本橋学館大学
雑誌
紀要 (ISSN:13480154)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-31, 2013-03-01

学生と社会人で「何のために働くのか」について対話を通して考える「ハタモク」のワークショップ(3時間)を2回実施し、事前、1回後、2回後の変化について、準実験的な方法による調査を行った。その結果、学生の社会人に対するイメージは、事前のネガティブなものが43.0%、ポジティブなものが18.5%だったのが、2回目終了時にはそれぞれ、24.6%と43.8%と逆転し、「実際に見た社会人」が大きな影響を与えている事がわかった。分散分析の結果、「職業進路成熟」「話し方」「特性的自己効力感」の各因子について調査時点の主効果が認められ、多重比較の結果、これらの各因子は事前の時点よりも1回後、および2回後の時点において有意に高かった。社会人との直接的な相互作用を通じて「気づき」を促進させるハタモクは、ポジティブな社会人イメージを形成し、自分の将来について考え、自分の言葉で話し、自信を持てるようになることが示唆された。大学のキャリア教育におけるプログラムとして、社会人との対話が学生の意識(社会人イメージ、キャリア成熟、対人スキルに関する自己認知、および特性的自己効力感)に影響を与え、学生たちの進路選択行動の遂行可能感を高めるのに有効であると考えられる。