著者
篠田 悠斗 宮原 大輝 品川 和雅 水木 敬明 曽根 秀昭
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
pp.1260-1266, 2020-10-19

将棋などの2人で行うボードゲームでは,ゲームを始める手番(先手・後手)によって取りやすい戦略が異なり,プレーヤーごとに得意な手番があるため,プレーヤーの希望を踏まえた上で公平に手番を決めるのが良い.しかし,取りたい手番をそのまま相手に伝えてしまうと,自身の戦略が相手に漏れてしまう.したがって,お互いに取りたい手番の情報は秘匿したまま,自分が持ちたい手番はできるだけ取れるように手番を決定できれば嬉しい.この問題は,現在一般に行われている振り駒やじゃんけんなどでは解決できない.本稿では,この問題の定式化を行い,この問題を解決する「希望に基づく秘匿先手決定プロトコル」を物理的なカード組を用いて構成する.これに加えて,問題を多人数に拡張し,希望者のみから公平かつ秘密に抽選する「隠密抽選プロトコル」も提案する.