著者
宮坂 啓子 藤田 君支 田渕 康子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.58-66, 2014-03-20 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

〔目的〕認知症高齢者を介護する家族の介護肯定感とそれに影響する要因を明らかにすることを目的とする.ストレス対処能力(SOC),主観的健康感,ソーシャルサポートなどの影響要因について検討した.〔方法〕認知症高齢者を在宅で介護している主介護者に無記名の自記式質問紙調査を実施した.分析対象者は有効回答のあった188人とした.調査には介護肯定感尺度, SOC短縮版尺度, SF-8を用い,ソーシャルサポートと介護者・被介護者属性等についてたずねた.〔結果〕介護肯定感は平均値が36.5±7.9点であった.介護肯定感を従属変数とした重回帰分析の結果,介護肯定感に影響を及ぼす要因は介護者が女性(β=0.162, p=0.006), SF-8のMCSが高い(β=0.218, p=0.001), SOCが高い(β=0.133, p=0.043),「適切な介護の仕方が分かる」(β=0.410, p=0.000)ことが影響していた.これらの4変数により全体の35.7%を説明した.〔結論〕在宅で認知症高齢者を介護する家族の介護肯定感を高めるには, SOCや精神的QOLを高める支援とソーシャルサポートが重要なことが示唆された.