- 著者
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宮城 信也
- 出版者
- 北海道教育大学
- 雑誌
- 情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.53-56, 1987-03-15
本論は自閉児が家庭や学校などでどのような危険な場面に遭遇しているのか,それに対して親や教師はどのような指導をしているのかについて,親,教師(幼稚園,小・中情緒障害学級,精薄養護学校)への面接調査を行ったものである。調査対象は親については軽度14名,中度8名,重度4名,計26名,教師については幼稚園2校,小・中情緒障害学級5校,精薄養護学校(附属の寄宿舎含む)2校である。主な結果は次のとおりである。家庭にあっては,行方不明,とびだし,危険な場所での遊びなど多くの危険例が認められる。障害程度別に見ていくと軽度の場合,2歳から6歳までが多くの危険にさらされている時期である。中度の場合,異食,自傷行為を除くと軽度と同じ傾向である。重度の場合,他傷行為のような危険例は少ないが,生活年齢が高くなっても多くの危険にさらされている。学校場面においても,障害の程度によって多様な危険例が示され,通級制情緒障害学級と精薄養護学校では子どもの危険な行動,それに対する安全指導,教師の指導上の悩み,などにちがいが見られ,通級制情緒障害学級での危険は比較的少ない。精薄養護学校では,行方不明や火遊び,他傷行為などに多くの配慮を必要としているが,子どもの内面の理解による危険発生の予防,教職員のチームワークによる対応がなされている。