著者
宮城 妙子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.76-82, 2014-02-01 (Released:2015-02-01)
参考文献数
25

シアリダーゼは糖タンパク質や糖脂質糖鎖から酸性糖であるシアル酸残基を遊離するExo-型糖分解酵素で,糖鎖分子のコンホメーションや認識機構などを変化させ,多くの細胞機能にかかわっている.哺乳動物細胞には,遺伝子構造,細胞内局在や酵素学的性状が相違する4種が存在するが,これらはがん化で互いに異なった挙動を取り,発現異常を示すことがわかってきた.本稿では,シアリダーゼ異常によってもたらされるがんの糖鎖シアル酸制御の破綻とその意義について,筆者らの研究成果を中心に,この変化ががんの発がん過程や進展にいかに深くかかわっているかを紹介したい.
著者
平塚 裕介 佐藤 麻美子 小野寺 克洋 佐藤 勝智 木幡 桂 田上 恵太 宮城 妙子 佐竹 宣明 井上 彰
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.229-233, 2018 (Released:2018-07-19)
参考文献数
15

悪性消化管閉塞(malignant bowel obstruction: MBO)に伴う症状に対して,デキサメタゾン(Dexamethasone: DEX)が投与される.本研究の目的は,DEXが投与されたMBO患者における経口摂取量の変化を調査することである.2016年10月〜2017年9月までに緩和ケア病棟に入院した患者(N=262)のうち,MBOの臨床的徴候を認める(病歴・身体所見・画像所見),Treitz靭帯以下の閉塞,治癒の見込めない腹腔内の原発癌を有する,または,腹腔内に病変を有する非腹腔内の原発癌を有し,DEX投与をした症例(N=10)を後ろ向きにカルテ調査した.対象症例のうち6例に平均3.8日間に経口摂取量の増加を認めた.全例DEX投与開始用量は8 mg/日であった.MBOに対するDEX投与により,経口摂取量の増加が得られる可能性がある.