著者
上元 洵子 森 雅紀 宮城 明実 塩野 州平 山田 博英
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.543-547, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【背景】悪性腫瘍に伴う直腸テネスムスは,進行がん患者のQOLに大きく影響するが確立した治療はない.【症例】71歳,男性.直腸がん原発切除不能のため人工肛門造設術施行.手術11カ月後よりテネスムス症状が出現,その3カ月後には5-15分間隔の便意を催すようになった.原発巣に対する照射を行うも改善認めず.アモキサピン25mg内服が奏効.内服不能後は,クロミプラミン点滴静注を行うも無効.リドカイン持続静注200mg/日により軽減.その後増悪するも290mg/日とし改善,亡くなるまで良好なコントロールを得た.【考察/結論】本症例は悪性腫瘍に伴う直腸テネスムスに対してアモキサピンが奏効した初めての報告であり,リドカインにより終末期まで安全に症状コントロールを得ることができた.ただしこれらの薬剤にエビデンスは乏しく,積極的な使用の適応については今後の研究により検討していく必要がある.