著者
寺田 泉 松山 美和 山田 博英 大野 友久
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.75-82, 2020-06-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
41

目的:緩和ケア受療進行がん患者の口腔内評価を実施し,生命予後予測と口腔内状況の関係を検証した。 方法:対象は,2017年11月から2018年7月の期間に,聖隷浜松病院に入院中の緩和ケア受療がん患者で,同意が得られた85名とした。基本情報はカルテから抽出し,口腔内の状態はOral Health Assessment Tool日本語版(以下,OHAT-J)と口腔機能評価表を用いて評価した。Palliative Prognostic Index(以下,PPI)を用いて,対象者を生命予後が3週未満と予測される群(以下,予後短期群)と,それ以上(以下,予後長期群)の2群に分け比較した。 結果および考察:対象者の平均年齢は65.6±13.2歳であり,予後長期群が62名,予後短期群が23名であった。OHAT-Jでは,口唇,歯肉・粘膜,唾液,口腔清掃の項目および合計スコアにおいて予後短期群で有意に悪化が認められた。口腔機能においては,すべての項目において予後短期群で有意な悪化が認められた。口腔粘膜など口腔乾燥が影響する項目に有意な悪化が認められたものと考えられ,口腔機能に関しては,Activities of Daily Living(日常生活動作:以下,ADL)や意識状態の悪化などの結果と推察された。 結論:生命予後予測と口腔内状況には関連性があり,予後短期群の口腔内状況は予後長期群よりも不良であることが示唆された。PPIによる予後予測は口腔内状況の把握に有用であることが示唆された。
著者
上元 洵子 森 雅紀 宮城 明実 塩野 州平 山田 博英
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.543-547, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【背景】悪性腫瘍に伴う直腸テネスムスは,進行がん患者のQOLに大きく影響するが確立した治療はない.【症例】71歳,男性.直腸がん原発切除不能のため人工肛門造設術施行.手術11カ月後よりテネスムス症状が出現,その3カ月後には5-15分間隔の便意を催すようになった.原発巣に対する照射を行うも改善認めず.アモキサピン25mg内服が奏効.内服不能後は,クロミプラミン点滴静注を行うも無効.リドカイン持続静注200mg/日により軽減.その後増悪するも290mg/日とし改善,亡くなるまで良好なコントロールを得た.【考察/結論】本症例は悪性腫瘍に伴う直腸テネスムスに対してアモキサピンが奏効した初めての報告であり,リドカインにより終末期まで安全に症状コントロールを得ることができた.ただしこれらの薬剤にエビデンスは乏しく,積極的な使用の適応については今後の研究により検討していく必要がある.