著者
行村 純 池田 良 宮崎 和典 大塚 憲衛 植木 実
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.163-168, 1980

先天性副腎過形成による副腎性器症候群は女性においては男性化徴候と卵巣機能不全による不妊症とを特徴とする疾患である.<br>最近われわれは原発性無月経, 外性器異常などを主訴とする症例に内分泌学的検索をはじめとする諸検索を行ないC-21-OH・lase障害による先天性副腎過形成と診断した.<br>形成的に陰核部分切除術を施行後, glucocorticoid療法をprednisolonc 20 mg perdayにて開始した. 治療開始後3週間で整調排卵性周期が確立し, 2ヵ月後には妊娠に成功した. しかし初回妊娠は17週で自然流産に終った.<br>3年後再び妊娠し順調な経過ののち経膣的に正常女児を得た. 本疾患における妊娠分娩例, 特に経膣分娩例は稀なため報告する.