著者
宮崎 弘安
出版者
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

数論幾何では、整数や素数の性質を、代数多様体と呼ばれる図形(幾何学的対象)の性質に置き換えて研究する。多くの場合、代数多様体の構造は非常に複雑で、そのままでは調べるのが難しい。そこでコホモロジー理論を用いた「線形近似」を行うのが現代数学の常套手段である。数論幾何には様々な種類のコホモロジーが現れるが、それらは全てモチーフという理論によって結びつくと考えられている。これまでの研究では、モチーフ理論全体を一般化することにより、従来の理論が抱えていた原理的な制約を克服することに成功した。本研究ではこの新しいモチーフ理論を駆使し、従来の理論では捉えられなかった数論的現象を探求することを目指す。