著者
仙田 満 宮本 五月夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.303, pp.103-109, 1981-05-30
被引用文献数
7

これまでの結果をまとめると, あそびが発生しやすい条件なり空間構成があることが明らかとなった。1.ある場所があそび場となる一般傾向は「妨害されない場所」であり, 「その場所が常に誰かに見られる位置にある」ものが多い。2.あそび場には広さが40〜70m^2のものと, 6〜8倍(約300m^2)の広さのものとの2種類ある。3.あそび場には「エッジ型」を基本として, その変形である「モール型」「ポケット型」「シンボル型」の4つのタイプがある。4.40〜70m^2のあそび場には「モール型」「ポケット型」「シンボル型」が多く, 300m^2前後の広さのあそび場には「エッジ型」が多い。5.「モール型」「ポケット型」「シンボル型」のあそび場でのあそび人数は3人前後が多く, 「エッジ型」では6〜7人であそばれることが多い。6.「エッジ型」の変形である「モール型」「ポケット型」「シンボル型」のあそび場は, こども達にとって非常に身近にあるあそび場であり, あそびの起爆剤的なあそび場となっている。7.「モール型」の成立条件は, 車がほとんど通らない道路であることが第1条件である。「T字路」や, 「十字路」は人々の接合点, 集中点となり, 第1の条件が満たされれば, あそび場が発生しやすい場所である。又, 道路わきに, 入れなくても"空地"や"車庫"等のポケット的な空間に接している所が, あそび場となりやすい。8.「ポケット型」の成立条件は, 交通量が少ない道路ぎわの, 誰からも阻害されない, アルコーブ状にできた小広場に発生しやすい。9.「シンボル型」の成立条件は, あそび場となる潜在力をもった場所の素材から, 特出した要素をこども達が発見, または引き出すことが鍵となる。したがって, 遊具に代表されるように, シンボルを創ることで, その場をあそび場に転化することができる。10.「エッジ型」の成立条件は, あそび場を囲む縁(エッジ)の一つが必ず道路であることが第1条件である。また, 残りの三方のエッジは, ハードなエッジとソフトなエッジの2種類から成り, こども達が出入りできるすきまが必要である。11.「エッジ型」のあそび場では, "野球", "ドッチボール", "サッカー"等のスポーツ的集団あそびが多い。12.「モール型」のあそびでは, "自転車乗り"等の乗り物あそびと, "キャッチボール"等のボールあそびを始めとした, 「エッジ型」のあそび場でのあそびを縮少したあそびが多い。13.「ポケット型」, 「シンボル型」のあそび場では, その構成素材があそびの中心となるため, 構成素材が異なれば, あそびも異なり, 多種多様なあそびがみられる。14.一つの場所で数種類のあそびが行なわれるあそび場と, その場所だけの特定のあそびが行なわれるあそび場とがある。前者には「エッジ型」「モール型」後者には「シンボル型」「ポケット型」に多い。15.あそび場の誘致圏はほぼ50〜60mであり, 小学生8〜10人に1ケ所の割合で分散している。16.児童公園のような「エッジ型」のあそび面積の広いあそび場の誘致圏はほぼ120〜130mである。17.「モール型」「ポケット型」「シンボル型」のあそび場は, こども達の行動をあそびへと転化させる都市内に生じたあそび空間である。