著者
宮本 克己
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.397-402, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1 9

戦前の過大都市抑制思想を引継ぎ, 戦後混乱期の暫定的な意味をも含み設定された東京の緑地地域は, 終戦直後の混乱期, まず自作農創設事業との調整から始まり, その後幾多の難題をかかえながら, 大小の区域変更を繰り返えし, 首都圏計画の動向に対応しつつ紆余曲折を経て今日に至っている。本稿は, その経過を明らかにしようとするものであり, 緑地地域が漸次解除されて行くその時々で激しく繰りひろげられた議論とその背景を仔細に検討するものである。緑地地域をとりまく周辺の種々の計画との関連において, 緑地地域がいかなる意味を有していたのか, ここに改めて考察しようとするものである。
著者
宮本 克己
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.229-232, 1995-03-31
被引用文献数
2 2

東京緑地計画(1939)に端を発するわが国緑地帯構想は,その後,防空空地帯,緑地地域を経て,首都建設計画,首都圏整備計画における近郊地帯へとその形を変え受継がれ,今日まで東京の発展に多大な影響を与え続けている。この間,経済復興にともなう東京への集中が激化する中,緑地帯の実現への努力が種々なされるが,構想に反し地価低廉な緑地帯への分散が進み,諸施策の進捗状況もおもわしくなく,ついに近郊整備地帯へと衣替えすることとなった。本稿は,旧くから特に首都圏において議論されてきた緑地帯構想に関し,それを担保すべく諸制度の,特にその実効性に焦点を当て検討し問題点を指摘したものである。