著者
吉村 長蔵 宮本 清茂
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.371-375, 1977
被引用文献数
1

ジメチルホルムアミド(DMF)中の金属塩化物のEDTAによる伝導度滴定において二,三の塩の添加による変曲点(反応点)の単一化を検討した.EDTAによる伝導度滴定では,置換反応の後にキレート反応が起こり両方の反応点が順次現れる.置換反応ではEDTAのカルボキシル基のプロトンにDMFと金属塩化物との付加陽イオン種が置換する点として4:1,2:1の反応比の点に変曲点が現れ,その後に1:1のキレート反応点を得る.このように種々多くの点が得られ複雑なため,本報では二,三の塩の添加により変曲点を少なくすることを試み,併せて二者共存時のEDTAによる示差滴定を検討した.シュウ酸,硝酸,硝酸リチウム及び過塩素酸アンモニウムを添加すると置換反応点の2:1がマスクされ変曲点を少なくすることができた.