著者
為重 誠 川村 國夫 駒田 秀一 宮村 雅之 埴原 強 室井 辰盛
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.289-305, 2009
被引用文献数
3

2007年3月25日に発生した最大震度6強の能登半島地震により,能登有料道路は柳田IC~穴水IC間48.2kmにおいて,大規模な高盛土の崩壊が11箇所,路面の段差・クラックが37箇所,橋梁損傷が6箇所と甚大な被害が発生し,地震直後から車輌通行止めの事態に至った。関係者の尽力により1ヶ月間の応急復旧工事の後に暫定的に通行が可能となり,その後の本復旧工事を経て,2007年11月30日に全面復旧を成した。本文では,盛土構造物を対象に能登有料道路の特徴,地震による被害の状況,対策工のために行った土質調査や試験結果,そして,復旧工法の設計,施工に至る一連の流れを述べるとともに,被災原因についても検討した。被災のメカニズムとして,地下水で飽和された盛土法尻部が地震力により脆弱化し,これによって盛土内のすべりが発生した可能性が高いことを示した。