著者
江種 伸之 姜 学妍 峠 和男 西田 憲司 平田 健正
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.297-304, 2011-06-30 (Released:2011-07-01)
参考文献数
11

土壌汚染対策法の施行規則では,原位置封じ込めが地下水汚染を経由した健康被害を防止するための標準的措置になっている。しかし,同法の主な対象と考えられる市街地では,原位置封じ込めの適用条件を満足する不透水層があまり存在しないことが明らかになってきた。そこで本研究では,より多くの現場に適用可能な原位置封じ込め措置として地下水揚水併用型を考え,数値解析を実施して汚染拡散防止効果を考察した。その結果,薄い難透水層しか存在しない現場においても,地下水揚水の併用によって,原位置封じ込め措置を適用できることが確認された。また,汚染拡散防止に必要な難透水層内の上向きの地下水浸透量は,封じ込め区域900m2あたり0.1m3/d程度でよいことも推察された。これは,遮水壁の性能が十分であれば,地下水揚水量が難透水層内の浸透量と同程度の少量で済むことを示唆している。
著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人
出版者
社団法人地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011-07

本文データは地盤工学会の許諾に基づき登録したものである岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った. 破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した. 針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった. 部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た. また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1XEcJIS程度であることがわかった. 墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した.Geotechnical characteristics for the earth mound of historical tumuli are recently strongly required during the archeological investigation because the mechanical properties of mound soils have to be evaluated for conservation of those tumuli particularly in the case that they have to be restored or partly reconstructed. In the present paper, the procedure of the geotechnical investigation for geo-relics is introduced by exemplifying the achievement for the Hirui-Otsuka Tumulus, the largest keyhole shaped one in Gifu Prefecture. Needle penetration test is adopted as an almost non-destructive testing procedure to measure the equivalent uniaxial strength of the tumulus mound with little damage. On the basis of a series of in-situ experimental findings, the horizontally layered structures have been confirmed throughout the tumulus with different earth materials. The typical traces of compacted earth reflecting the procedure of construction of the tumuli mound as a variation of strengths have also been detected. A series of laboratory tests was conducted on the soils excavated from the tumulus as well as artificial ones selected for restoration of the tumulus. The properties of particle size distribution and retention have provided the useful suggestion for reconstruction of the lost tumulus mound that directly contacts the original tumulus mound. Compaction tests on the excavated tumulus mound soils shows that the tumulus mound was constructed with the energy of O.lEcjjs which is almost equivalent to the one with treading down. The investigated results have provided the effective proposal for restoration procedure of the tumulus.
著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人 中井 正幸
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011

岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った。破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した。針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった。部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た。また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1×E<sub>cJIS</sub>程度であることがわかった。墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した。
著者
大津 宏康 北岡 貴文 野並 賢
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.103-114, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

近年,日本を含むアジア諸国では降雨に起因する斜面崩壊に伴う土砂災害の発生頻度が増加しつつある。本研究では,風化花崗岩における斜面崩壊事例が多いことを考慮し,既往の文献に基づき,花崗岩の風化特性に関する知見をレビューするとともに,その知見に基づきタイ・プーケットの風化花崗岩切土斜面における安定性評価について考察を加えた。この結果として,風化花崗岩からなる地盤において比較的急傾斜の切土斜面を構築した場合には,風化により斜面表面から比較的浅い領域に存在する細粒分が卓越する層(比較的低透水性領域)に浸透水が貯留され,それに伴うせん断強さの低下により浅層崩壊を引き起こす可能性があることを明らかにした。また,この知見を反映した調査事項に関する提言も示した。
著者
渡辺 俊一 江種 伸之 平田 健正 横山 尚秀 山里 洋介 森田 昌敏
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.147-157, 2010-03-26 (Released:2010-03-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本稿では,2003年3月に茨城県神栖市で発生した有機ヒ素化合物による地下水汚染の実態について報告する。汚染物質となった有機ヒ素化合物はジフェニルアルシン酸である。汚染地域で実施した野外調査では,ジフェニルアルシン酸は主に帯水層深部から検出された。しかし,汚染の発端となった飲用井戸の南東90m付近の人工的に埋め戻された浅層地盤からは,ジフェニルアルシン酸を高濃度に含むコンクリート様の塊が発見され,これが汚染源と推察された。また,地下水の汚染は汚染源から約3km離れた下流地区まで拡がっていることが確認された。
著者
大木 基裕 中野 正樹 酒井 崇之 関 雅樹
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.59-70, 2014

鉄道構造物の中でも既設盛土の耐震補強化は喫緊の課題であり,大規模崩壊の恐れのある盛土の耐震補強が行われている。本稿では,現行の鉄道技術基準に基づく盛土の耐震性能の考え方とこれまでの耐震補強の概要を示す。次に,3つの粘土地盤上の盛土を対象に,動的遠心模型実験,有限要素解析を実施し,地震時における盛土の破壊形態を確認し,ニューマーク法による変形予測の精度を検証する。実験や解析の結果,同一の支持地盤の強度であれば盛土が高くなるほど,また,同一の盛土高さであれば支持地盤の強度が小さくなるほど,破壊形態は,盛土主体から地盤も含む破壊形態へと移行し,変形レベルも大きくなる。また,盛土を主体とする円弧すべり状の破壊形態が生じたケースに対しニューマーク法を用いた結果,求められた沈下量は模型実験結果とほぼ等しくなった。簡便な耐震性能評価手法であるニューマーク法は,盛土の破壊形態を適切に考慮することにより沈下量の精度は高まり,設計において有用となることが示唆された。
著者
ハザリカ へマンタ 片岡 俊一 笠間 清伸 金子 賢治 末次 大輔
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-23, 2012
被引用文献数
2

東北地方太平洋沖地震は,その地震動および津波によって東日本の広範囲で甚大な被害をもたらした。本論文は,青森県三八上北地方および岩手県北部において発生した地盤災害に対しての調査結果をまとめたものである. 調査地域の範囲内では地震そのものより複合性のある被害(例:津波による地盤災害や液状化による被害など)が顕著であった. 本論文では, 特に地震動, 押し波, 引き波および構造物の構造形式などを着眼とした太平洋沿岸部の被害について述べる.
著者
小嶋 正樹 杉井 俊夫 八嶋 厚 沢田 和秀 森口 周二
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.33-43, 2006

道路防災点検によって抽出された早急に対策を要する膨大な数の危険斜面の中から, 優先的に対策を施すべき危険斜面を選定するための手法として, すべての危険斜面に対して対策の優先順位をつけるロジットモデル解析を提案する。岐阜県内の特定の地域を対象に, 防災専門家による点検結果の所見に含まれるキーワードから, これまでに優先的に対策が施された危険斜面の選定に大きな影響を及ぼしたと考えられるキーワードを抽出し, そのキーワードを基準要因とする要因モデルを構築した。構築した要因モデルを岐阜県内の他の地域に適用して対策の有無の的中率を算出し, 本解析手法の妥当性を検証した。また, 本解析手法をシステム化するにあたり道路防災点検結果をデータベース化し, 解析・データ管理する基盤として道路防災GISを構築した。
著者
古田島 信義 鈴木 雅文 中出 剛 片山 政弘 手塚 仁 木佐貫 浄治
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.469-478, 2017 (Released:2017-12-31)
参考文献数
13

本減水対策を実施した北薩トンネルは,鹿児島県北薩地域と鹿児島空港を結ぶ北薩横断道路に建設中の,紫尾山を貫く延長4,850mの山岳トンネルである。トンネル中央付近の低速度帯からは,高濃度のヒ素を含む地下水が時間当たり約300t湧出し,地域の水環境への影響が懸念された。そのため,ダムのグラウチング工法により減水対策工を実施した結果40 t/h以下に減水することができた。
著者
西岡 孝尚 澁谷 啓
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.397-415, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

特殊土に位置づけられる火山灰質粗粒土のうちスコリアは,これまで十分な報告がなく,その工学的性質に関して十分議論されていないため,地盤材料としての適否の判断が難しい。そこで本論文では,富士山の東部山麓地域に広く分布する「スコリア」と称される火山砕屑物を用いて,盛土や構造物の裏込め材など道路土工への利用を目的として,その土質性状の把握と工学的性質を原位置および室内試験により詳細に検討した。一連の調査・試験の結果から,当該地域に分布する「スコリア」は,透水性,圧縮性,せん断強度のいずれの側面からも砂礫材料と同等あるいはそれ以上の水理・力学特性を示すことが分かった。例えば,スコリアを所定の締固め度で盛土施工すれば,十分な安定性が得られるばかりでなく,飽和化による沈下等の変状は発生しないことが分かった。一方,単位体積質量が1.0Mg/m3前後と小さいこと,粒子の破砕性が顕著なため,施工時の粒子破砕による粒度分布の変化により結果的に所定の締固め度を満足せず,盛土の性能低下が生じる可能性がある。
著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人 中井 正幸
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011-06-30 (Released:2011-07-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った。破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した。針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった。部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た。また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1×EcJIS程度であることがわかった。墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した。
著者
土田 孝 森脇 武夫 熊本 直樹 一井 康二 加納 誠二 中井 真司
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.33-52, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
20

2014年8月20日に発生した広島土砂災害では,午前3時から午前4時にかけて107箇所の土石流と59箇所のがけ崩れが同時多発的に発生し死者74名,負傷者44名,全壊家屋133棟,半壊家屋122棟という甚大な被害が発生した。本報告では土石流が発生した渓流とその下流の被害状況を中心に調査結果をまとめた。また,土砂災害警戒区域,特別警戒区域の指定を行うための基礎調査で想定されていた被害の規模と実際の被災状況を比較して考察し,基礎調査と区域指定の課題について検討を行った。
著者
藤井 幸泰 正垣 孝晴 宮川 真国 渡邉 邦夫
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.595-602, 2015 (Released:2015-12-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

旧横須賀製鉄所の第1号ドライドックは,開渠後140余年を経過している。土丹層と呼ばれる更新世の泥岩で構成された白仙山を掘削して建設され,石材に安山岩を利用しているこの構造物は関東大震災にも耐えてきた。現在も使用されているドックであるが,一部の石材表面は風化によって侵食されている。石造文化財としての記録を目的とし,デジタル写真測量を用いたドック全域の記録活動を実施した。また同じく写真測量を侵食の進んでいる石材表面にも適用し,侵食量の測定を試みた。従来の侵食量測定は,野外において物差し等を用いて測定するのが一般である。写真測量等の三次元測定を実施することにより,物差しでは測定できない侵食量,すなわち体積も測定が可能である。侵食量の異なる石材表面を比較することにより,風化による石材表面の侵食過程を明らかにすることが出来た。
著者
松元 和伸 小林 薫 森井 俊広 中房 悟
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.139-148, 2016

キャピラリーバリア(以下CB)は,砂層とその下部に礫層を重ねた土層構造であり,浸出水を抑制するための降雨浸透制御技術の一つとして利用されている。砂層と礫層の保水性,透水性などの違いによってCB機能は発揮されるが,実験による検証はCB層境界面が平坦であることが前提となっている。しかし,実施工時に広範囲の層境界面の平坦性を実験と同等に確保することは,施工工程やコストに大きく影響し,品質管理上の課題でもある。そこで,CB構造の展開を図っていく上で,CBの遮水機能つまり,限界長に及ぼすCB層境界面の不陸の影響を定量化しておくことが実務面で非常に重要となる。本論文では,上記課題の検討のため,これまで筆者らの研究で得られているCB境界面が平坦な場合のCB限界長と,新たに実験を行う層境界面に不陸のある場合のCB限界長との比較を行った。その結果,規則的な限定的条件下の不陸ではあるが,砂層と破砕貝殻層の層境界面の不陸は,実施工で発生するであろう30mm程度の規則的な不陸であれば,CB限界長等に影響を及ぼさないこと(CB機能も喪失しないこと)を明らかにした。
著者
栖原 秀郎 新井 洋一 中越 健太 赤神 元英 黒山 英伸
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.317-329, 2011
被引用文献数
1

近年,工場跡地等の再開発に伴う土壌汚染が社会的問題となっていることから,汚染状況の把握,健康被害防止の措置などを定めて土壌汚染対策を実施することを目的に,平成15年2月より土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)が施行され, 平成22年4月には改正土壌汚染対策法が施行された。一方,法規制外においても,土地取引等に対し自主調査・自主対策が行なわれ,むしろこちらの方が実施は多い。本文では,このような背景の下,繊維会社工場跡地における,第一種特定有害物質である揮発性有機化合物による大規模土壌・地下水汚染に対し,オンサイトにおいて,短期間で浄化した自主対策事例を紹介する。本事例では,回転式破砕・拡散混合工法による石灰混合処理を核にした方法により,揮発性有機化合物の土壌汚染では,環境基準の77倍,地下水汚染では環境基準の4,000倍までの汚染の浄化が可能であることを確認できた。
著者
新城 俊也
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.445-459, 2015 (Released:2015-12-31)
参考文献数
30

さんご礁堆積物にはさんご砂礫に加えて石灰質生物を起源とする細粒分が含まれている。この研究ではさんご礁堆積物の力学特性に及ぼす非塑性の細粒分の影響を調べるために,細粒分含有率の異なるさんご礁堆積物について,一次元圧密試験および三軸圧縮試験を実施した。圧密試験によると,圧縮指数Ccは0.07~0.13の範囲にあり,また圧密係数cvは,一次圧密が現れる細粒分含有率60%以上のさんご礁堆積物に対して103cm2/dのオーダーの値を示した。細粒分は石灰質のシルト径や粘土径の粒子で構成されているため,細粒分のせん断挙動は砂礫と同様のダイレイタンシー特性を示した。非排水せん断試験によるせん断抵抗角φ´は排水せん断試験によるせん断抵抗角φdに類似し,いずれのせん断抵抗角も細粒分含有率の増加に伴って減少した。非排水せん断強度cuは有効応力比(q/p´)が最大値に達した時点のせん断応力として求めた。それによる非排水強度増加率は細粒分のみの場合に対しcu/p=0.32の関係にある。
著者
金 哲鎬 藤井 衛 品川 恭一 伊集院 博 高田 徹 松下 克也 小川 正宏
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.195-205, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2 3

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により,戸建住宅における地盤の液状化に対する対策工法の必要性が社会的に高まりつつある。本論文では,これからの液状化対策のために,液状化の被害を受けた戸建住宅の宅地地盤に焦点を絞り,86地点のスウェーデン式サウンディング試験や三成分コーン(CPT)試験結果をもとに既存の液状化評価手法の検証を行った。また,160件の液状化被害を受けた事例をもとに,地盤補強を実施した戸建住宅の傾斜の状況や傾斜角と補修方法との関連性を整理した。以上の結果をもとに,液状化が生ずるような地盤における適切な地盤補強工法についてその設計の考え方を示した。
著者
鬼塚 克忠 陳 佩杭 TONG Peihua 根上 武仁 早川 慶
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.287-295, 2008-01-09 (Released:2008-01-09)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

佐賀県の吉野ヶ里墳丘墓は「版築状」に構築されており,この構築技術は古代中国から伝わったと考えられる。著者らは黄河流域における二千年前に構築された十数箇所の盛土遺跡を訪ね,その構築技術の特徴と地盤工学的特性を調査した。山東省・龍山文化時期の城子崖遺跡の城壁は厳密な意味での「版築」で構築された盛土遺跡の一例である。城子崖遺跡の調査結果から,「版築技術」は黄土をかなり高い密度に突固めることが可能であり,水に弱い黄土の欠点を補えることが分かった。黄河流域における版築盛土構造技術の出現は黄土の特異な地盤工学特性に大きく関係していると考えられる。
著者
萩原 育夫 大西 有三 佐々木 猛 西山 哲
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.357-367, 2009-12-25 (Released:2009-12-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

不連続変形法を用いた落石シミュレーションにおける形状パラメータ設定方法の体系化を目的として,落石の形状特性に関する定量的指標の導入について検討した。落石の形状特性を表す指標としてアスペクト比,円形度,形状エントロピーに着目し,跳躍過程を主体とする解析ケースを対象とした感度解析並びに落石崩落事例解析を行って各形状指標の適用性を検討した。検討結果から,着目した形状指標のうち曲率に関する形状エントロピーと円形度は落石ブロックの形状特性に関連した跳躍時の射出方向変化や崩落時のエネルギー減衰等のシミュレーション結果に対応することを明らかにし,実際の落石崩落を対象とした事例解析において各指標の有効性を把握することができた。これらの形状指標を解析パラメータの設定に導入することは,落石の形状特性把握における主観的誤差の低減や,合理的な落石シミュレーションの実施に有効と考えられた。