著者
平野 勝也 森 孝宏 奥村 雄三 林 純 野村 秀幸 宮永 修 吉松 博信 石橋 大海 柏木 征三郎 稲葉 頌一
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.388-392, 1988-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
14

27歳の健康な女性がB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症したが, 血漿交換を含む治療により救命し得た. 患者の過去3回の献血時の検査ではHBs抗原は陰性で, 輸血歴およびキャリアーの家族歴はないが, HBe抗原陽性のB型慢性肝炎患者の婚約者と発症2ヵ月前から親密な交際があったことから, 婚約者が感染源と考えられた.性行為に伴うB型急性肝炎の発症の報告はみられるが, 劇症肝炎の報告は稀であり, 将来も本例のような劇症肝炎の発症をみることが予想される. B型肝炎の予防対策の一環としてのキャリアーに対する教育上示唆に富む症例と思われたので報告する.