著者
宮澤 正樹 清島 淳 中井 亮太郎 小村 卓也 丸川 洋平 加賀谷 尚史 太田 肇 鵜浦 雅志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.2176-2181, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

74歳男性.慢性骨髄性白血病に対してダサチニブを内服中.血便を契機に施行した大腸内視鏡検査にて横行結腸から直腸にかけて多発し,滲出物の付着と出血を伴うアフタ様びらんを認めた.病理組織学的には表面に炎症性滲出物の付着する陰窩炎であった.感染症を念頭に置いて抗菌薬の投与を行ったが改善せず,ダサチニブによる出血性大腸炎を疑い投与を中止したところ,血便の消失と内視鏡所見の改善を認めた.第2世代チロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブによる消化管出血の報告は散見されるが,ダサチニブ中止前後の内視鏡所見の変化を観察し得た症例は貴重であると考えられた.