著者
太田 肇
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

インターネットをはじめとする情報通信技術の発達、経済のソフト化に伴い、人的資源管理が変化している。第一に、時間と場所とにとらわれない働き方が進行している。とりわけアメリカの企業においては、在宅勤務などの普及が著しい。一方わが国では、技術的条件は整っていても、職場の風土や仕事の進め方(いわゆる集団主義)の面での制約から、働き方の柔軟化は後れている。第二に、IT化・ソフト化に伴って個人の能力格差が増幅された形で成果に反映されるようになったため、それが処遇の格差をもたらす要因になっている。それは、わが国でも成果主義の普及という形で現れている。第三に、IT化やソフト化に伴って、より質の高いモチベーションが要求されるようになり、それが動機づけの内容に影響を与えている。その中でもとくに注目されるのは、金銭的報酬より非金銭的な報酬、とりわけ個人の承認欲求に働きかける動機づけである。企業その他の組織において行った実証研究の結果、顧客からの感謝や承認を従業員にフィードバックしたところ、モチベーションや組織・仕事に対するコミットメントなどが向上することが明らかになった。
著者
太田 肇
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第87集 日本の経営学90年の内省と構想【日本経営学会90周年記念特集】 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.82-89, 2017 (Released:2019-09-26)

企業の関わる事件や事故などの不祥事が発生するたびに「管理の強化」が唱えられ,対策がとられる。しかし,同種の不祥事が後を絶たないばかりか,同じ組織体のなかで不祥事が繰り返される場合もある。その背景には,日本型組織の特徴が深く関係している現実がある。日本型組織の特徴として,非公式組織と公式組織の二重構造,職務の不明確さ,ならびにそこから生じる圧倒的に組織優位な組織と個人の力関係,集団無責任体制があげられる。それが存在するため,企業不祥事のなかでもとくに組織的性格の強い不祥事の場合,管理強化がプレッシャーと集団的機会主義を生み,不祥事防止に逆効果となるのである。したがって不祥事の防止には,日本型組織の特徴を踏まえた対策をとる必要がある。現実的な対策として,短期,中期,長期の3レベルの提案を行った。
著者
宮澤 正樹 清島 淳 中井 亮太郎 小村 卓也 丸川 洋平 加賀谷 尚史 太田 肇 鵜浦 雅志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.2176-2181, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

74歳男性.慢性骨髄性白血病に対してダサチニブを内服中.血便を契機に施行した大腸内視鏡検査にて横行結腸から直腸にかけて多発し,滲出物の付着と出血を伴うアフタ様びらんを認めた.病理組織学的には表面に炎症性滲出物の付着する陰窩炎であった.感染症を念頭に置いて抗菌薬の投与を行ったが改善せず,ダサチニブによる出血性大腸炎を疑い投与を中止したところ,血便の消失と内視鏡所見の改善を認めた.第2世代チロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブによる消化管出血の報告は散見されるが,ダサチニブ中止前後の内視鏡所見の変化を観察し得た症例は貴重であると考えられた.
著者
工藤 逸郎 三宅 正彦 見崎 徹 小室 歳信 金山 利吉 若松 佳子 納村 晉吉 篠田 宏司 太田 肇 下山 哲夫 会田 卓久 松江 高光 小田 泰之 関根 光治 和田 雅彦
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-20, 2011-03-31

戦中の歯科月報は,戦局の激化により昭利19年(1944)6月20日発行の第24巻第5号を以て廃刊となったが,戦後昭和24年(1994)5月30日日本大学歯学会発行,復刊記念号として復刊された.雑誌の性格は戦中迄の歯科月報と同様,学術誌,同窓会誌との二面牲を持つ性格のものであった.昭和26年(1951)10月31日発行の歯科月報復刊第2号から昭和29年(1954)10月30日発行の歯科月報復刊第10号迄は日本大学歯科同窓会発行となる.復刊第10号は学会誌と同窓会誌の二重の牲格を持つ最後の会誌となる.昭和30年(1955)6月,大学院設置予定に伴い学会誌のみの雑誌の必要性から歯科月報は第29巻第1号から日本大学歯学会機関誌に決定された.そのため同窓会関係については新たに同窓会誌を発行する必要が生じ,昭和31年(1956)3月21日,日本大学歯学部同窓会会誌創刊号が発行された.その後,同誌は日本大学歯学部同窓会雑誌,日本大学歯学部同窓会誌と改題して現在に至っている.歯科月報は昭和39年(1964)1月,日大歯学(Nihon University Dental Journal)第38巻第1号に改題し現在に至っている.以上について本学の歯学部,同窓会,図書館等の資料を用いて検討し若干の考察を加えて報告した.