- 著者
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宮田 渡
小山 長雄
- 出版者
- 日本鱗翅学会
- 雑誌
- 日本鱗翅学会特別報告 (ISSN:05495210)
- 巻号頁・発行日
- no.5, pp.1-27, 1971-08-31
日本産のSphingidae,Saturniidae,BrahmaeidaeおよびBombycidaeの4科55種の後頭形態を研究し,それによって類縁関係を検討した.1.上記4科の後頭部はいずれも,側溝部,縁毛帯および内側板を備え,PPP・PPA・PAA・APP・APA・AAAの6後頭型に分けられる.2.スズメガ科の後頭型はPPP,PPA,PAA,APA,AAAの5型からなる.本科は節板に分枝をもつ点において他の蛾類といちじるしく異なっている.また,Macroglossum,Gurelca,Cephonodes,およびHemarisの4属は小個眼部をもつ点でスズメガ科の他の種と異なっている.3.スズメガ科を除く3科は後頭形態に共通性があり,なかでもイボタガ科(PPA型)とカイコガ科(APA,APP型)が近縁である.4.各科における各種の類縁関係は図19〜20に示した通りである.分類上問題になる属はスズメガ科ではPsilogrammaとMeganotonで,この両属は後頭形態からみるとたがいに同属である.ヤママユガ科ではRhodinia属のR.fugax fugaxとR.jankowskii hattoriaeとは別属としてよい程異なっている.カイコガ科では,OberthueriaがBombyxとまったく異なるものであることはまちがいないが,これとPseudandracaまたは他の科との類縁関係は未詳である.