著者
宮田 謙一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.294-296, 1965-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
4

前報においてある種の湿式法微粉末シリカ表面に存在するシラノール基の表面濃度が27μmol/m2であることを報告したが,この値は理論的に算出された値13μmol/m2よりいちじるしく高いものである。このように高い表面濃度でシラノール基がシリカ表面に存在する理由を明らかにするために,シラノール基の表面濃度が異常な値を示す微粉末シリカ,正常な値を示す微粉末シリカ,および後者を加圧圧縮して得られた圧縮微粉末シリカについて,水蒸気吸着等温線を測定し,それらシリカの絶体吸着等温線を比較検討した。その結果,この湿式法微粉末シリカは, 250m2/gの比表面積を持つ粒子の凝集体であり,凝集粒子問に窒素分子は吸着されないが,水分子は表面シラノール基との水素結合を介して吸着されるとの結論を得た。