著者
宮迫 靖静
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.11-20, 2013 (Released:2020-01-26)
参考文献数
26

高等学校新学習指導要領・外国語編は,英語コミュニケーション能力の養成を鮮明にしている。「実際のコミュニケーションの場面」(文部科学省,2010)となる授業において,技能統合的な活動によるコミュニケーション能力育成を目指す中で,「ライティング」科目は「英語表現」科目に形を変え産出力を養成するが,「リーディング」科目は消滅する。本論は,新学習指導要領施行後のリーディング指導を探ることを目的とし,Grabe(2009)の包括的リーディング指導への提言に基づき,現行学習指導要領における「リーディング」科目と新学習指導要領における「コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ」科目におけるリーディング指導に関する記述を比較・検討する。また,「コミュニケーション英語Ⅰ」検定教科書におけるタスクを予備調査する。この結果,(a)「リーディング」科目と「コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ」科目におけるリーディング指導に関する記述には本質的な違いはなく,(b)「コミュニケーション英語I」検定教科書は,語彙・文法・内容理解に関するタスクが中心で技能統合タスクは十分ではなく,流暢さ育成に難があることが示される。併せて,新学習指導要領施行後のリーディング指導への示唆も示される。