著者
横山 能文 森 真理 平手 友章 篠田 邦大 桑原 祐也 宮﨑 太地 大城 一航 金山 朋子 野田 美香 山下 達也 門井 絵美 神田 香織
出版者
The Japanese Society of Pediatric Hematology / Oncology
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.198-201, 2019 (Released:2019-09-10)
参考文献数
9

10歳女児.発熱,頭痛を主訴に近医を受診した際に,白血球高値,貧血,血小板減少を認め当科紹介受診となった.骨髄検査にてAML(FAB-M2)と診断し,治療を開始した.1コース終了時点で寛解を確認したが,FLT3-ITD陽性と判明し造血幹細胞移植を行う方針となった.初診時陽性であった末梢血WT1mRNAは,1コース終了時より<5.0×101を維持していたが4コース終了時点で1.3×102に上昇を認めた.前処置CY+TBI,GVHD予防FK506+sMTXで臍帯血移植を行い,day32に生着を確認した.Day35で行った骨髄検査では寛解を維持していたが,末梢血WT1mRNAは1.7×102(day34),2.3×102(day39)と上昇を認めた.day40よりFLT3阻害薬sorafenib 200 mg/bodyの内服を開始した.末梢血WT1mRNAはday81より<5.0×101を維持し,その後約2年間sorafenib内服を継続した.現在内服終了後1年が経過し,末梢血WT1mRNAは<5.0×101を維持し,再発を疑う所見を認めていない.本例においてFLT3-ITD陽性AMLに対する移植後維持療法としてのsorafenib内服は,安全かつ有効であったと考えられた.