- 著者
-
後藤 真千子
- 出版者
- 日本小児血液・がん学会
- 雑誌
- 日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.5, pp.413-418, 2016 (Released:2017-03-18)
- 参考文献数
- 3
ホスピタル・プレイ士(以下HP士と記載)がプレパレーションをすることによって,恐怖心から処置や検査,治療を行うことが困難な患児に対し,処置や治療,検査がスムーズに行われることが可能となることがある.まず,本人と保護者の話をよく聞き,児が処置/検査/治療の意味や必要性を理解しているか,何が不安なのか,親の思いはどうか,を確認する.その後,処置/検査/治療がどういうものかを患児の認知に合わせて説明し,必要があれば,事前に機械,機器を見たり,触れたり,遊んだりするなどして,児の不安を一つずつ取り除いて,児が大丈夫と思えるまで関わる.分離不安がある場合は,HP士と仲良くなることにより,処置/検査/治療にHP士が一緒に入って支えながら乗り切っている.処置/検査/治療が度重なる恐怖体験になり,トラウマになって,体に変調を来すようなときも,不安の原因を一つ一つ解きほぐしながら,患児と一緒に乗り越えるための対処戦略を考え,乗り切っていく.その際に,様々な段階において,各部署のスタッフと連携し,綿密に段取りを決めて,患児の恐怖を最小限にし,乗り越えるためのモチベーションを上げるように工夫している.そのような関わりが,効果的であった症例について,具体的な経過を報告し,HP士と他職種の連携によるプレパレーションの意義について考察したい.