著者
鈴木 慎太郎 茂木 健太郎 家城 光志 黒川 真嗣 足立 満
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.280-284, 2008-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

26歳の女性.ライチを食べた後に口腔咽頭の違和感を訴え, 次第に皮膚掻痒感, 四肢のしびれ, 悪心を認め, 救急外来を受診した.来院時, 血圧低下と意識障害も認めた.アナフイラキシーショックと診断し, アドレナリンや副腎皮質ステロイド薬などを投与し改善した.ライチに対する特異的IgE抗体測定および同種のライチを用いた皮膚試験で陽性を示した.アナフイラキシーショックに進展したライチによる口腔アレルギー症候群と診断し, 今後はライチを摂取しないように指導した.また, 本例ではこれまでに種々のパッションフルーツやスパイスでアレルギー症状の既往があり, 花粉による鼻アレルギーもあることから, プロフイリンをアレルゲンとしたpollen-fruit syndromeと呼ばれる病態を有しているのではないかと推測した.