著者
富士栄 登美子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.248, 2018

目的 選択的夫婦別姓が国会で取り上げられてから20年以上が経過し、2015年には「選択的夫婦別姓は合憲」であるとの高等裁判所の判断が下された。2018年1月に男性事業者が「選択的夫婦別姓」訴訟を東京地裁に起こし、その波紋は大きく広がっている。別姓が認められない現状から「旧姓を結合した選択的夫婦同姓」を提案することを目的としている。<br>方法 邦人女性と仏人男性の婚姻届けに立ち会うところから始まる。これまでの「夫婦別姓問題」を検証し、これからどうすればジェンダー平等な社会になれるのかを考えてみる。<br>結果 日本の外務省は、2019年を目途にパスポートに旧姓併記の実施の検討を始めている。しかし、「父の姓に統一、妻は結合姓も認める、子供は父の姓」であるトルコのようになると推測される。この場合、妻は結合姓であっても夫は結合姓ではない。<br> 新しい家族は戸籍が新しくなるように姓も新しくなる必要がある。本当の意味のジェンダー平等の姓とは、双方の姓を結合した結合姓で且つ夫婦同姓ではないだろうか。発表者自身、結合姓を意識したとき、生まれてきた孫の存在に大きな変化を感じた。双方のどちらの孫でもあるという感覚である。これからの婚姻届けに記載する夫婦の氏は、レ点をつけるのではなく自分たちが選択して決めた新姓を書くことができるようになればと考えている。旧姓の残る夫婦同姓は、家族の崩壊どころか親族の絆が深まっている。
著者
富士栄 登美子 島袋 麻美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.244, 2008

【研究内容】沖縄県の沖縄島を中心とした紅型,福島県の会津若松,田島,喜多方を中心とした会津型,三重県鈴鹿市の白子・寺家を中心とした伊勢型について,それぞれの色彩,文様,技法などの相違点を明らかにし,型染の美意識について比較検討し,技法,染色法,色彩,道具,型紙の面から考察した。【研究結果】(1)染型紙:伊勢型,会津型は,白地彫りと染地彫りのいづれかであるのに対して,紅型は,白地彫りと染地彫りの両方がひとつの染型に存在している場合が多い。(2)技法や道具:紅型には「糸掛け」が,伊勢型には「糸入れ」が残っている。「糸入れ」と「糸かけ」は異なる技法である。(3) 彫り台:紅型の型を彫るときの台は,「ルクジュウ」である。(4) 型屋と染屋(紺屋):(5) 色彩:伊勢型,会津型は、おおむね単色が多い。これに対して紅型は、顔料を使った多色染である。紅型は、藍と墨で染める藍型もあるが、[紅入色型染]を略して[紅型]と呼ぶように、[色差し][色配り][隈取り][二度刷り]など多色の色使いである。(6) 染色法:紅型は捺染法であり,伊勢型,会津型は浸染法である。(7) 文様:紅型は図案化,伊勢型は繊細,会津型は技巧的である。(8) 美意識:紅型の美意識は,伊勢型から生まれた江戸小紋や,中形にみられるような粋好みの美意識ともちがう。紅型の隈取りや白地彫り染地彫りがひとつの型紙に共存しているという特徴が幻想的で自由で明るい紅型の美意識を生み出しているといえる。(9) 教育の現場で:今後は地域教材とした授業を小・中・高等学校の教育の中に取り入れることで子供たちの伝統工芸に対する意識の向上の更なる変容が期待される。「紅型」を地域教材として取り上げ,現職教員で大学院生の島袋麻美の教育実践は,教育成果をあげている。 本研究は、科学研究費補助金(2005~2007年度、課題番号17500509)を受けていることを申し添えます。
著者
富士栄 登美子 Fujie Tomiko
出版者
三重県総合教育センター
雑誌
科学技術教育研究紀要 (ISSN:09166939)
巻号頁・発行日
no.5, pp.41-46, 1995-03

古来,人は,頭を使い,手を使って,数千年も前から編むことを覚えた。さらに,編むことにより線から面を作り出していった。本稿は,子供たちの被服への興味・関心は,編むことから始まると考え,身近なおやつなどに使われている着色料で染めた毛糸を使い,編むことをとおして,被服への興味を引き出し,あわせて着色料への関心をも高める教材と小・中学校の一貫性をもたせた指導についての考察を行ったものである。