著者
竹上 栄治 樋口 幸治 中野 和司 富岡 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.391, pp.37-41, 2005-11-04

近年, スイッチング電源の分野で制御部のインテリジェンス化・ハードウェア共通化等の要求のために, 制御部をディジタル化する動きが進んでいる.様々なコンバータトポロジーの制御部のハードウェアを共通化するためには, 任意のタイミングでパルスが生成できるPWMジェネレータが必要であり, これはPWMジェネレータ部をディジタル化すれば容易に実現可能である.しかしながら, ディジタル回路によるPWMジェネレータは, キャリア波が階段波となり, クロック周期で刻み幅が決まるため, PWM出力パルスの分解能はクロック周期に依存する.この依存性は, スイッチング周波数が高くなるほど悪影響を及ぼすため, 制御部のディジタル化における重要な問題となっている.本論文では, パルスを合成する技術を用いて, ディジタルPWMの分解能を格段に改善できる方法を提案しており, またDSPを用いて試作機を製作し, 実験による検証をしている.
著者
竹上 栄治 樋口 幸治 中野 和司 富岡 聡 渡辺 一史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.724-736, 2005-09-01
被引用文献数
6

情報通信ネットワーク機器や高速サーバにおいては, 広範囲な負荷変動及び入力電圧変動に対して過渡応答特性が劣化しないロバストなDC-DCコンバータが必要とされる. 筆者等は, DC-ACコンバータの近似的2自由度ディジタル積分形制御器の設計法を提案した. このディジタル制御器はスタートアップ特性として一次モデルを近似的に実現し, ロバストなものとなっている. DC-DCコンバータにこの近似的2自由度ディジタル制御器を適用するには, ロバスト性をより高める必要がある. そのためには十分な近似度を得る手法を確立しなければならない. 本論文では, 制御帯域幅をより広くし, 同時に出力電圧の変動を抵抗負荷や入力電圧の突然の変化に対して十分小さく抑える近似的2自由度ディジタル積分形制御器の新しい設計法を提案する. 本設計法では, スタートアップ特性の目標モデルに二次モデルを用いる. この二次モデルへの十分な近似と外乱から出力電圧への伝達特性の十分な近似を得るための制御器の設計法とそのパラメータの決定法を示す. 提案された方法によって得られたディジタル制御器は, DSPに実装され, 与えられた仕様を満たすことを実験によって検証する.