著者
石原 暢 富田 有紀子 平出 耕太 水野 眞佐夫
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.122, pp.93-105, 2015-06-29

本研究は,都道府県ごとの体力・運動能力テストにおける平均点と「貧困」に関わる指標を用い,子どもの貧困と体力の関係性を小中学生男女対象に評価した. その結果,「ひとり親世帯で育つ子どもの割合」と「教育扶助を受ける世帯で育つ子どもの割合」の二つの項目と体力テスト平均点の間に負の相関関係が認められた。雇用者年間給与と体力・運動能力テストにおける平均点の間には小学生女子以外では相関関係が認められなかった。ひとり親世帯に住む子どもの割合と毎日の朝食の間に負の相関関係が認められた。教育扶助を受ける世帯で育つ子どもの割合と運動,睡眠,朝食に関わる項目の間に負相関が認められた。親の年収が直接子どもの体力に影響を与えないが,ひとり親世帯で育つ場合や教育扶助を受けなくてはならないほど世帯所得がひっ迫している家庭に育つ子どもは体力が低いことが本研究により明らかとなった。