著者
富田 駿 山﨑 裕司 加藤 宗規
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17-20, 2015-03-31 (Released:2019-06-18)
参考文献数
9

逆方向連鎖化の技法を用いた寝返り動作練習では,動作の獲得に至らなかった重度片麻痺患者を経験した.この患者に対して,両下腿を台上に挙上することで寝返りの難易度を下げた練習を導入し,その効果について検討した. 介入前には寝返り動作を3段階に分け,肩甲帯及び骨盤帯にクッションを挿入し半側臥位にした状態より寝返り練習を実施した.そして,クッション数を減らしていくことで難易度調整を行った.しかし,失敗を繰り返す結果となった. 今回の介入では,クッションの挿入に加え,両下腿を台上に載せた.これによって下肢重心位置を上げ,寝返りに有利な状態を作り出した.連続して成功するようになれば下肢挙上用の台の高さを下げ,台無しでできた場合にクッション数を減少させた.これによって6日間計23回の寝返り練習によって寝返り動作は自立した.この間の身体機能,他の基本動作能力,日常生活動作の介助量に変化はみられなかった. 以上のことから,通常の逆方向連鎖化の技法では失敗が繰り返される重症片麻痺症例に対しては本介入が有用なものと考えられた.
著者
長井 梨香 富田 駿 加藤 宗規 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.31-35, 2017-09-30 (Released:2019-07-24)
参考文献数
13

重症片麻痺と失語症を合併した70歳代女性に対して改良した起居動作練習を適応し,その効果について検討した.寝返り練習は,20cmの台上にスライディングボードとクッションを置いた状態から開始する7段階の段階的な難易度調整を適応した.起き上がり練習には,6段階からなる逆方向連鎖化の技法を適応した.寝返り動作は,1日目に段階④まで可能となった.2日目には段階⑥まで,4日目には段階⑦まで到達した.合計4日間の介入でプラットフォーム上の寝返りは可能となった.起き上がり動作は,1日目に段階③まで可能になり,3日目には動作が可能となった.介入期間中に運動麻痺,高次脳機能障害の改善はみられなかったことから,今回の介入は起居動作を学習させるうえで有効なものと考えられた.