著者
依光 朋子 山﨑 裕司 萩野 智美 酒井 寿美 平賀 康嗣 稲田 勤 川上 佳久 西野 愛
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.23-25, 2012

図書館利用者数,貸出冊数を増加させる目的でポイントカードを導入し,その効果について検討した. 対象は平成22年度本学院在学生520名,平成23年度本学院在学生523名である. 平成23年10月から,図書館利用者にポイントカードを配布した.ポイントは,図書の貸出機会,返却機会,国家試験問題への挑戦について2ポイント,文献相互貸借申込について6ポイントが付与された.合計10ポイントで,借用可能な図書数を1冊増加,あるいは漫画本3冊の貸出という特典を準備した.さらに30ポイントで,漫画本10冊の貸出という特典を付与した.平成23年10月から平成24年2月までの期間における来館者数,貸出図書冊数を平成22年度の同時期と比較した. 平成22年度と23年度を比較すると,11月13.1%,12月11.4%,1月11.8%,2月39.5%の有意な増加を認めた.しかし,貸出冊数には,有意な変化を認めなかった. ポイントカードの導入は,利用者数を増加させるうえで有効に機能したものと考えられた.
著者
明崎 禎輝 山﨑 裕司 野村 卓生 吉本 好延 吉村 晋 濱岡 克伺 中田 裕士
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.27-31, 2007-03-31 (Released:2018-09-05)
参考文献数
12

脳血管障害片麻痺患者79名を対象に,歩行自立のために必要な麻痺側下肢荷重率について検討した.下肢荷重率の測定には市販用体重計を用い,5秒間安定した保持が可能であった荷重量を体重で除し,その値を下肢荷重率とした.単変量解析では,年齢,麻痺側下肢筋力,下肢Brunnstrom stage,麻痺側下肢荷重率,深部感覚障害の有無において自立群と介助群間で有意差を認めた.ロジスティック解析の結果,麻痺側下肢荷重率のみが自立群に関係する有意な要因であった.Receiver Operating Characteristic曲線による曲線下面積を求めた結果,麻痺側下肢荷重率は自立群を有意に判別可能な評価方法であった.麻痺側下肢荷重率71.0%をカットオフ値とした場合,感度,正診率,陽性適中率のいずれも高い精度で自立群を判別可能であった.脳血管障害片麻痺患者における麻痺側下肢荷重率は,歩行自立度を予測する上で有用な指標と考えられた.
著者
山﨑 裕司 片岡 千春 大倉 三洋 酒井 寿美 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮崎 登美子 柏 智之 中野 良哉
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.61-66, 2009-03-31 (Released:2018-11-06)
参考文献数
13
被引用文献数
2

固定用ベルトを併用したHand Held Dynamometer(以下,HHD)による新たな股関節外転筋力(以下,股外転筋力)測定方法を考案し,その再現性について検討した.<研究1:検者内再現性>健常者20名の両下肢40脚を対象とした.固定用ベルトを使用したHHDにはアニマ社製徒手筋力測定機器μTasMF-01を用いた.固定用ベルトを使用しないHHDには酒井医療社製徒手筋力センサEG-230及び220を使用した.股外転筋力値は1日目,2日目とも固定用ベルト不使用下(23.1kgf,23.0kgf)に比較し,固定用ベルト使用下(28.2kgf,28.7kgf)において有意に高値を示した(p<0.01).ベルト不使用下,使用下での級内相関係数(以下,ICC)は,それぞれ0.917,0.953であった.両測定方法間での筋力差とベルト使用下における筋力値の間には,有意な相関(r=0.783,p<0.01)を認め,筋力値が大きいほど測定方法間での差が大きくなった.<研究2: 検者間再現性>健常成人17名の両下肢34脚を対象とした.体格の異なる2名の検者によって,研究1と同じ固定用ベルトを使用したHHDを用いて股外転筋力の測定を実施した.筋力値は検者A,Bの順に31.1kgf,32.8kgfであり,検者間に有意差は認めなかった.検者間ICCは0.915であった.以上の結果から,今回の固定用ベルトを使用した股外転筋力測定方法は良好な検者内,検者間再現性を有することが明らかとなった.一方,固定用ベルトを使用しない方法は,筋力値の大きな対象群において測定値の妥当性に問題があるものと考えられた.
著者
山﨑 裕司 遠藤 晃祥
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-10, 2017-03-31 (Released:2019-07-10)
参考文献数
2
被引用文献数
7

認知症患者の日常生活動作障害に対する行動分析学的介入について紹介した.応用行動分析学では動作障害の原因を,認知機能や身体機能の問題だけでなく,知識の問題,技術の問題,動機づけの問題から分析していく.知識の問題に対して,間違った手順を修正する口頭指示は無効であった.知識の教示とフェイディングによる介入の有効性が示された.技術の問題に対する介入では,逆方向連鎖化や段階的な難易度設定,プロンプト・フェイディングなどの技法を用いた介入の有効性が報告されていた.動機づけの問題に対しては,強化刺激の整備によって適切な行動を増加させ得ることが示された.さらに,言語指示に従えない重症例に対する介入が4本報告されていた.問題行動に対する介入では,不適切な行動を消去し,それに拮抗する適切な行動に強化刺激を与える介入が実施されていた.多数の先行研究は,認知症を有する対象者に適切な行動を学習させ得ることを示した.応用行動分析学的介入は,認知症患者の日常生活動作能力を改善させるであろう.

2 0 0 0 OA 筋力の測定

著者
片山 訓博 山﨑 裕司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.761-763, 2017-10-18 (Released:2017-12-04)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

固定用ベルトを併用したhand-held dynamometerは,比較的安価で,簡便性・汎用性・信頼性に優れ,多くの臨床データが蓄積されている.院内連続歩行,階段昇降,椅子からの立ち上がりに必要な膝伸展筋力体重比の自立閾値は,それぞれ0.4 kgf/kg,0.5 kgf/kg,0.35 kgf/kgである.下限閾値は,それぞれ0.25 kgf/kg,0.25 kgf/kg,0.2 kgf/kgである.また,本邦高齢者の膝伸展筋力体重比は,移動動作の自立閾値に近似しており,予備力が乏しい状態にある.
著者
平賀 康嗣 栗山 裕司 宮﨑 登美子 柏 智之 片山 訓博 重島 晃史 稲岡 忠勝 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39-41, 2019-03-30 (Released:2019-09-19)
参考文献数
6

本研究では,健常者のハムストリングスに対するストレッチを継続的に実施し,持続的なストレッチ効果が現れる治療期間について検討した.対象は,健常者14名(男性7名,女性7名)である.介入前右膝窩角は,137.7±12.1度であった.介入1 ,2 ,3 ,4 週目の右膝窩角は,それぞれ144.4±13.0度,152.7±10.5度,155.6±7.7度,162.0±6.2度であった.2 週目以降,開始時と比較し膝窩角は有意に増大していた(p<0.01).介入前左膝窩角は,138.8±12.4度であった.介入1 ,2 ,3 ,4 週目の左膝窩角は,それぞれ143.9±12.4度,151.3±7.8度,154.3±8.2度,160.7±6.1度であった.2週目以降,膝窩角は有意に増大していた(p<0.01).明確な膝窩角の改善は, 2 週目以降と説明することが妥当なものと考えられた.
著者
重島 晃史 山﨑 裕司 片山 訓博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1701, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】関節可動域の目測は理学療法士(PT)にとって必要なスキルの1つである。我々は,学生やPTの目測能力やトレーニング効果について検証してきたが,測定角度の違いが目測精度に与える影響については未だ検討の余地が残されている。目測の難易度が明らかになれば,トレーニングすべき目測角度やその目標が明確となる。本研究の目的はPTを対象に,角度の違いによって目測精度がどの程度異なるのかを検証することである。【方法】対象はPT17名(男性11名,女性6名)で,経験年数は1~14年目であった。目測能力の測定は我々が先行研究(2011年)で作成した測定ツールを使用した。Power Point画面上に直線角度を34パターン作図し,10度~170度までの角度を10度間隔で表示した。測定では1分間にできる限り速く正確に各スライドの角度を声に出して読むように指示し,角度は検査者が記録用紙に記入した。内容は5種類あり,ランダムに5回実施した。各測定終了時には正解角度のフィードバックを行わなかった。データの解析では,5回試行したすべてデータを対象として各角度における正答率および誤差角度を算出した。統計学的解析では,各角度間の正答率および誤差角度の差を検討するために反復測定分散分析および多重比較を用いた。また,経験年数と目測精度との関連性についてピアソンの相関係数を用いて検討した。【結果】正答率は直線角度10度から170度の順に,73.0±33.8%,69.3±27.6%,55.5±23.9%,49.6±22.3%,36.3±27.8%,51±31%,66.3±27.3%,82.1±20.9%,94.4±11.5%,88.2±20.8%,59.9±29.1%,51.6±37.5%,38.4±20.8%,17.1±19.0%,40.4±24.4%,48.4±26.0%,87.4±22.8%であった。誤差角度は直線角度10度から170度の順に2.7±3.4度,3.1±2.8度,4.4±2.4度,5.8±2.1度,6.9±3.4度,6.0±4.5度,4.2±4.3度,2.0±2.3度,0.6±1.1度,1.2±2.1度,4.1±3.0度,5.7±4.1度,7.4±2.9度,11.1±3.7度,6.7±4.2度,5.9±3.9度,1.6±2.8度であった。なお,経験年数と正答率との間には有意な関連はなかった(r=0.40,NS)。【結論】本研究の結果から,目測角度によって難易度に違いがあることが明らかとなった。目測の難易度の高い角度は50°,60°,130°,140°,150°であり,難易度の低い角度は80°,90°,100°,170°であった。人は「斜線効果」によって,斜めの線よりも垂直または水平に近い線の方が線の方向を正確に認識し判断できると言われている。本研究において,難易度の低い角度はどれも水平か垂直に近い角度を示していることから,生理的に安易で正確に捉えやすいと考えられた。動作分析や関節可動域測定で目測を活用する際は,正答率の低い角度について注意する必要がある。経験年数と目測精度の間には有意な関連は無く,経験年数に関わらず目測精度を維持するためにはトレーニングが必要なものと考えられた。
著者
片山 訓博 大倉 三洋 山﨑 裕司 重島 晃史 酒井 寿美 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮﨑 登美子 柏 智之 藤本 哲也 藤原 孝之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.357-361, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕常圧低酸素環境における低強度運動時の呼吸循環代謝応答を測定し,エネルギー代謝に与える影響について検討した.〔対象〕健常成人男性13名.〔方法〕通常酸素濃度条件(1.0 atm,酸素濃度20.9%)と常圧低酸素条件(1.0 atm,酸素濃度14.5%)を設定した.両条件下でATポイントの70%負荷による自転車エルゴメータ運動を行った.実験中,酸素飽和度,心拍数,呼気ガスデータを測定した.〔結果〕低酸素条件では,通常酸素条件に比べ,運動時心拍数,分時換気量が有意に高値を示した.低酸素条件は,通常酸素条件に比べ,脂肪酸化率は有意に低かった.逆に,ブドウ糖酸化率は有意に高く,エネルギー代謝は亢進していた.〔結語〕常圧低酸素環境下の運動によって,糖質利用が促進される可能性が示唆された.
著者
山﨑 正啓 三浦 千明 西村 友秀 矢作 満 山﨑 裕司
出版者
行動リハビリテーション研究会
雑誌
行動リハビリテーション (ISSN:21866449)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.26-28, 2018-03-31 (Released:2023-05-29)
参考文献数
7

看取り目的で入院した重度認知症患者の暴言・拒食行動に対して応用行動分析学的介入を行った.介入前,言語聴覚療法中の平均暴言回数は29回,摂食行動は全く見られなかった.介入では,分化強化の技法を用いた.つまり,患者の暴言は消去し,適切な行動が生起した際には,称賛や身体接触などの強化刺激を付与した.拒食に対しては,食事時の環境調整と摂取した際に注目・称賛などの強化刺激を付与した.その結果,暴言は減少し,フォローアップ期にはほぼ消失した.食事は,徐々に食事摂取量が増加し,フォローアップ期には全量摂取が可能となった.今回の応用行動分析学的介入は,認知症患者の暴言,拒食行動を減少させるうえで有効に機能したものと考えられた.
著者
東部 晃久 坂本 雄 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション専門職大学
雑誌
高知リハビリテーション専門職大学紀要 (ISSN:24352535)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-48, 2021 (Released:2021-06-29)
参考文献数
5

口頭指示によって改善できない足部の引きずりを呈した慢性期高齢片麻痺患者を経験した.症例は70歳代の女性,軽度の右片麻痺と注意障害,短期記銘力の低下を認めた.歩行中,右足部が徐々に後ろに残り,転倒の原因となっていた.この症例に対して,視覚的プロンプトの提示と引きずり回数のフィードバックを併用した介入を週2回実施し,その効果について検討した.ベースライン期での引きずり回数に比較し,介入期の引きずり回数は有意に減少した(p<0.05).また,プローブ期でも引きずり回数は増加しなかった.以上のことから,今回の介入は足部の引きずりを減少させるうえで有効に機能したものと考えられた.
著者
山﨑 裕司 宮﨑 登美子 柏 智之 稲岡 忠勝
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション専門職大学
雑誌
高知リハビリテーション専門職大学紀要 (ISSN:24352535)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.41-43, 2022 (Released:2022-11-15)
参考文献数
9

本研究では,アキレス腱に対する振動刺激が,足関節背屈角度に与える影響について検討した.対象は,健常者20名である.まず,両側の足関節自動背屈角度を測定した.次いで,腹臥位にて右アキレス腱に対して1分間の振動刺激(100Hz)を加えた.左脚は対照群とした.治療直後,再度,背屈角度を測定した.振動刺激を加えた右背屈角度は,治療前7.0±5.5度,後8.9±5.1度であり,有意差を認めた(p<0.05).対照群の左背屈角度は,治療前6.6±5.5度,後6.8±4.7度であり,有意差を認めなかった.振動刺激を加えた右背屈角度の変化量は1.9±3.5度,対照群の変化量は0.2±1.5度であり,有意差を認めた(p<0.05).アキレス腱に対する振動刺激は,背屈角度を改善させるうえで有効なものと考えられた.
著者
新 智子 木村 誠子 大島 真理江 諏訪 光地子 香取 牧子 小澤 一樹 宮崎 和紀 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-30, 2013-03-31 (Released:2019-06-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

統合失調症と自殺企図のある下腿切断患者に対する義足歩行訓練に応用行動分析学を取り入れた介入を行い,その効果について検討した. 介入当初,義足への荷重訓練に対して,拒否的な言動,疼痛の増悪,握力の低下などの問題行動がみられた.介入では,対象者の受け入れやすい行動目標(歩行)を取り入れ,歩行距離の延長という強化刺激をフィードバックすることで,理学療法への参加行動を定着させることに成功した.次いで,対象者の好みの活動と要求をアンケートによって把握し,それを行動目標とした.目標を到達するため必要な動作能力とそれを獲得するために必要な訓練内容を本人に説明し,同意のもとに実施した.その結果,実用的な歩行形態の獲得,階段昇降動作の獲得など,さらなる移動能力の向上を図ることが可能であった.最終的に対象者は自宅退院に成功した. 以上のことから,今回の介入は理学療法への参加行動を定着させる上で有益な方法と考えられた.
著者
中山 智晴 山﨑 裕司 森田 ゆかり 大﨑 康史 古谷 博和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.9-13, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
9

〔目的〕パーキンソン病(PD)患者に対する段階的難易度設定による起居動作練習が,動作時間に及ぼす即時的効果について検討した.〔対象と方法〕PD患者13名を対象として,段階的難易度設定の技法を用いた起き上がり動作練習と寝返り動作練習を,計10~15分間実施した.〔結果〕介入前の起居動作時間の中央値は7.5秒,介入後の起居動作時間の中央値は4.4秒であり,動作時間は有意に短縮した.動作時間の改善度は,起居動作に時間を要していた重症度の高い症例ほど大きかった(rs:0.95).〔結語〕段階的難易度設定による起居動作練習は,PD患者の起居動作時間を短縮させる即時的効果を持つ,有効な動作練習と考えられた.
著者
平賀 康嗣 栗山 裕司 宮﨑 登美子 柏 智之 片山 訓博 重島 晃史 稲岡 忠勝 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39-41, 2019

本研究では,健常者のハムストリングスに対するストレッチを継続的に実施し,持続的なストレッチ効果が現れる治療期間について検討した.対象は,健常者14名(男性7名,女性7名)である.介入前右膝窩角は,137.7±12.1度であった.介入1 ,2 ,3 ,4 週目の右膝窩角は,それぞれ144.4±13.0度,152.7±10.5度,155.6±7.7度,162.0±6.2度であった.2 週目以降,開始時と比較し膝窩角は有意に増大していた(p<0.01).介入前左膝窩角は,138.8±12.4度であった.介入1 ,2 ,3 ,4 週目の左膝窩角は,それぞれ143.9±12.4度,151.3±7.8度,154.3±8.2度,160.7±6.1度であった.2週目以降,膝窩角は有意に増大していた(p<0.01).明確な膝窩角の改善は, 2 週目以降と説明することが妥当なものと考えられた.
著者
山﨑 裕司 長谷川 輝美
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.7-12, 2004-03-31 (Released:2018-08-30)
参考文献数
13

本研究では理学療法に対するコンプライアンスが不良であった患者に対して応用行動分析学的介入を行い,その効果について検討した.対象は長期臥床後に著しい廃用性変化を呈した虚弱高齢患者である.介入前,患者の理学療法への参加率は50%前後であった.介入では,まず筋力増強訓練,座位訓練行動を定着させるために先行刺激として明確な事実の教示とポジティブルールを設定した.後続刺激としては,嫌悪刺激の除去と正の強化刺激の整備を実施した.介入後,理学療法への参加率はすみやかに100%となった.8週間の介入によって著しい筋力・歩行能力の改善を認め,筋肉痛や膝関節痛の出現にもかかわらず,理学療法への参加行動は維持された.以上のことから,本症例に対する応用行動分析学的介入は理学療法への参加行動を定着させる上で有効なものと考えられた.
著者
富田 駿 山﨑 裕司 加藤 宗規
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17-20, 2015-03-31 (Released:2019-06-18)
参考文献数
9

逆方向連鎖化の技法を用いた寝返り動作練習では,動作の獲得に至らなかった重度片麻痺患者を経験した.この患者に対して,両下腿を台上に挙上することで寝返りの難易度を下げた練習を導入し,その効果について検討した. 介入前には寝返り動作を3段階に分け,肩甲帯及び骨盤帯にクッションを挿入し半側臥位にした状態より寝返り練習を実施した.そして,クッション数を減らしていくことで難易度調整を行った.しかし,失敗を繰り返す結果となった. 今回の介入では,クッションの挿入に加え,両下腿を台上に載せた.これによって下肢重心位置を上げ,寝返りに有利な状態を作り出した.連続して成功するようになれば下肢挙上用の台の高さを下げ,台無しでできた場合にクッション数を減少させた.これによって6日間計23回の寝返り練習によって寝返り動作は自立した.この間の身体機能,他の基本動作能力,日常生活動作の介助量に変化はみられなかった. 以上のことから,通常の逆方向連鎖化の技法では失敗が繰り返される重症片麻痺症例に対しては本介入が有用なものと考えられた.
著者
加嶋 憲作 山﨑 裕司 河邑 貢 津田 泰路 大菊 覚 峯田 拓也 馬渕 勝 篠原 勉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.509-512, 2015 (Released:2015-09-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

〔目的〕下肢荷重率および片脚立位時間と独歩自立との関係を検討すること.〔対象〕65歳以上の高齢入院患者241名とした.〔方法〕下肢荷重率を4群,片脚立位時間を5群に区分し,それぞれの群毎に独歩自立例の割合を算出した.〔結果〕下肢荷重率が高い群,片脚立位時間が長い群において独歩自立例は多かった.下肢荷重率90%以上群では全例が独歩自立し,70%未満の群では全例が非自立であった.一方,片脚立位保持が困難な症例でも独歩自立例が存在した.片脚立位保持が困難でありながら独歩が自立していた者は,独歩非自立例に比べて有意に下肢荷重率が高値であった.〔結語〕片脚立位時間よりも下肢荷重率が独歩の可否をより正確に判別できると考えられた.
著者
加嶋 憲作 津田 泰路 大菊 覚 横畠 和宏 西森 大地 山﨑 裕司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.635-638, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕最大歩行速度と独歩自立の関係を検討すること.〔対象と方法〕対象は,65歳以上の高齢入院患者262例である.院内独歩自立群と非自立群の2群に選別し,最大歩行速度を比較した.次に,歩行速度により6群に区分し,各群の独歩自立割合を算出した.さらに,独歩自立の可否を判別する最大歩行速度の至適カットオフ値を求めた.〔結果〕最大歩行速度は独歩自立群で有意に高値を示した.最大歩行速度の低下にしたがい独歩自立割合は減少した.独歩自立の可否を判別する至適カットオフ値は1.038 m / secであり,高精度で検出可能であった.〔結語〕最大歩行速度と独歩自立の可否には関連があり,最大歩行速度が一定の水準を下回る場合,独歩自立の可能性は低くなる.
著者
長井 梨香 富田 駿 加藤 宗規 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.31-35, 2017-09-30 (Released:2019-07-24)
参考文献数
13

重症片麻痺と失語症を合併した70歳代女性に対して改良した起居動作練習を適応し,その効果について検討した.寝返り練習は,20cmの台上にスライディングボードとクッションを置いた状態から開始する7段階の段階的な難易度調整を適応した.起き上がり練習には,6段階からなる逆方向連鎖化の技法を適応した.寝返り動作は,1日目に段階④まで可能となった.2日目には段階⑥まで,4日目には段階⑦まで到達した.合計4日間の介入でプラットフォーム上の寝返りは可能となった.起き上がり動作は,1日目に段階③まで可能になり,3日目には動作が可能となった.介入期間中に運動麻痺,高次脳機能障害の改善はみられなかったことから,今回の介入は起居動作を学習させるうえで有効なものと考えられた.
著者
中山 智晴 松岡 隆成 岩村 玲那 山﨑 裕司 森野 勝憲 和田 譲 有澤 雅彦
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-26, 2017-03-31 (Released:2019-07-10)
参考文献数
27

今回,Pusher現象と重度認知症を有する左片麻痺患者に対する段階的難易度設定の技法を用いた移乗動作練習方法を考案した.移乗動作時に著明な突っ張りを認めた症例に対してその方法を適応し,その効果についてシングルケースデザイン(AB法)を用いて検証した.介入前移乗動作では著明な突っ張りを認め,重度の介助を要した.18病日から介入を開始し,10日で車椅子~ベッド間の移乗が監視下で可能となった.介入前後の10日間では,身体機能に大きな変化がないことから,移乗動作の獲得は病態の回復によるものではなく,動作学習に依存したものと考えられた.学習の困難性を有する本症例において短期間のうちに移乗動作能力を向上させられたことから段階的な難易度設定による無誤学習は,有効に機能したものと考えられた.