- 著者
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成田 円
神野 朋美
畑瀬 智恵美
寺山 和幸
- 出版者
- 名寄市立大学
- 雑誌
- 市立名寄短期大学紀要 (ISSN:09165975)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, pp.31-41, 2004-03
市立名寄短期大学看護学科で行っている静脈血採血の技術演習において、学生が困難を感じている点を明らかにし、今後の技術演習をより良いものにすることを目的として質問紙調査を行った。質問紙調査は、採血用シュミレーターを使用した初回演習後(初回後)、学生自身が反復練習した後(自己学習後)および学生同士での採血実施後(採血後)にそれぞれ実施した。 初回後に比べ自己学習後では、「静脈の選択」、「駆血帯の巻き方」など13項目で困難であると回答した者の割合が有意に減少し、自信が持てたと回答した者の割合が有意に増加した。初回後に比べ採決実施後では、「静脈の選択」「駆血帯の巻き方」など9項目で、困難であると回答した者の割合が有意に減少し、自信が持てたと回答したものの割合が有意に増加していた。一方、自己学習後に比べ採決実施後では、「静脈の選択」、「すばやい針の挿入」など6項目で、困難であると回答した者の割合が有意に増加し、自信が持てたと回答した者の割合が有意に減少した。これらは、シュミレーターを使用した反復練習で自信を獲得できた項目ばかりであるが、実際の採血を行った結果、対象個々によって異なる状況(静脈の状態)があること、すなわち個別性に難しさを感じたものと思われた。このことは、自由記載の内容からも推測できた。 今回明らかになった、学生による静脈血採血を困難にしている要因について改善し、採血技術演習をさらに良いものにしていきたい。