著者
結城 佳子 鈴木 敦子 太田 知子 小林 美子 坂田 三允
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-29, 2009-03

本研究では、家庭での養護者による虐待に着目して近年の我が国における高齢者虐待に関する研究の動向を明らかにし、高齢者虐待に関する今後の研究課題について検討した。分析対象とした研究のうち、事例を対象に質的分析を行った研究では具体的な支援や介入の方法が提言されると同時に、対象者との契約にもとづいたサービスを提供する在宅医療・福祉専門職の支援および研究の限界も明らかにされていた。高齢者虐待に関する研究の今後の課題は、1.地域住民の高齢者虐待に対する意識の高揚化および普及啓発2.保健師・精神保健福祉・心理臨床職による支援および介入3.地域支援システムやネットワーク構築の実践、さらにこれらの理論化であることが示唆された。
著者
鈴木 敦子
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.27-56, 1994-07-30 (Released:2009-11-06)

Researches on honai-shonin have been made on the assumption that they were za-shonin living in villages (sonraku-za-shonin). One of the issues that these researches have pointed out is that their assertion about monopoly changed in the sixteenth century from the monopoly of transaction (ichi-za-ken) to that of trade routes. In this paper we have inquired into this change from the viewpoint that this was the change of their organization and creed of business. The main points we have clarified are as follows : First, they asserted their monopoly of trade routes upon being recognized as a corporation. We have reached this conclusion as a result of the elucidation of the process of their getting out of the control of shoen-ryoshu (sanmon), and of the above-mentioned recognized by shugo-Rokkaku-shi.Secondly, the reason of their assertion is that the goods they dealt in increased in amount. They no longer were able to assert the monopoly with the sales method relying upon za. So they were forced to assert the monopoly of trade routes connecting suppliers and retailers. This change in the form of business was in correspondence with the emergence of a local economy on the eastern coast of Lake Biwa in Omi-no-kuni.Thirdly, the reason why they could change the form of business is that their policy was in accordance with that of shugo-Rokkaku-shiFinally, having passed through the process mentioned above, honai-shonin transformed themselves from medieval za-shonin to a new type of merchants which adapted themselves to the local economy in the sixteenth century, namely, shingi-shonin.
著者
石井 智恵美 鈴木 敦子 倉田 元子 表 美守
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.984-987, 1990-12-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
22
被引用文献数
2

アントシアニン色素の熱安定性を明らかにするため,ナス果皮の凍結真空乾燥粉末およびこの粉末より0.1%塩酸-メタノールで抽出した粗色素液を用いて検討した.色素抽出液のアントシアニンの熱分解は50℃と60℃で,また凍結乾燥粉末のそれは100℃, 120℃で行い,経時的なアントシアニンの残存率を測定した.得られた結果はアントシアニンの分解の速度論的データ(k, 4△G≠, Ea, △艾H≠, △S≠)を用いて示した.1) 0.1%塩酸-メタノール液中の総アントシアニンの褪色は,熱安定性を検討する上で変化が明確であり再現性も良い.特にナスニンは光の影響を受けにくかった.2) 凍結真空乾燥粉末を用いた場合は, 100℃, 120℃加熱とも60分までは総アントシアニン残存率,反応速度とも大きな変化が見られなかった.加熱時間が120分になると, 120℃加熱において速やかなナスニンの分解が観察された.
著者
鈴木 敦子
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.29-53, 2017 (Released:2019-09-30)

Naraya (the Sugimoto family), who were kimono fabrics dealers, purchased kimonos in Kyoto, and sold them in the Kanto region during the Edo period, while the major dealers purchased kimonos in Kyoto, and sold them in Edo city. This study examines the Naraya pricing process, using their settlement of accounts statement as well as the statements of Daikokuya (the Tomiyama family) and Echigoya (the Mitsui family).Two important aspects are discussed in this study: the markup pricing method of kimonos, and the convention of changing the price in price tags. Kimono retailers used two markup pricing methods in the Edo period: uchi-mashi and soto-mashi.[1] Uchi-mashi: Cost/(1 - Markup) = Selling price[2] Soto-mashi: Cost × (1 + Markup) = Selling priceThe main store of Naraya in Kyoto purchased kimonos (kudari-mono), priced them at the uchi-mashi, and then sent them to the Kanto branches. More specifically, they classified kimonos and applied a set percentage for each category. That is, using the markup pricing as a standard, Naraya priced each kimono according to aspects such as its quality and mode.However, the price on the tag was not the selling price. The main store priced the purchased kimonos by doubling the selling price, while the branches sold them at the selling price. For example, 200 monme on the tag in Kyoto was sold at 100 monme in the Kanto branches. Thus, the double pricing on the tag in Kyoto by the Naraya was the conventional pricing style, which the Echigoya had established earlier.This study is significant because it is the first in the literature on the economic history of Japan to discuss the above-mentioned aspects.
著者
田宮 菜奈子 森山 葉子 山岡 祐衣 本澤 巳代子 高橋 秀人 阿部 智一 泉田 信行 Moody Sandra Y. 宮田 澄子 鈴木 敦子 Mayers Thomas Sandoval Felipe 伊藤 智子 関根 龍一 Medeiros Kate de 金 雪瑩 柏木 聖代 大河内 二郎 川村 顕 植嶋 大晃 野口 晴子 永田 功 内田 雅俊 Gallagher Joshua 小竹 理奈 谷口 雄大
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-07-18

誰もが満足できる人生の幕引きができるシステム作りのための、介護医療における実証研究およびそれに基づく提言を目的とした。まず、内外のガイドライン等レビューを行い、次に、我が国における医療・介護における実態・分析として、①看取り医療の実態と予後の検証(医療の視点)を救急病院での実態やレセプト分析により、②老人保健施設における看取りの実態(介護の視点)を、介護老人保健施設における調査から実施した。実態把握から根拠を蓄積し、本人の納得のいく決定を家族を含めて支援し、その後は、適切な医療は追求しつつも生活の質を一義としたケアのあり方を議論し、工夫実行していくことが重要であると考える。
著者
勝田 仁美 片田 範子 蝦名 美智子 二宮 啓子 半田 浩美 鈴木 敦子 楢木野 裕美 鎌田 佳奈美 筒井 真優美 飯村 直子 込山 洋美 村田 恵子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.12-25, 2001-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
14 1

子どもが検査・処置をどのように体験しているのかを明らかにすることを目的として参加観察を行い, 子どもが処置を体験するプロセスの中で「覚悟」という現象と, 覚悟に至る要因が抽出された. 処置を受ける子どもと親, および処置を担当した看護者・医師の4者18組を対象とし, おもにgrounded theory approachを用いて, 処置場面の参加観察, および処置に対する思い・説明内容等について半構成的インタビューを実施し分析を行った. その結果, 以下のことが明らかとなった.<BR>子どもの"覚悟"という現象は,「処置を受けるにあたり, 情緒的・認知的・精神運動的側面のバランスをとり, 処置を主体的に受容している状態」であった. そして, 覚悟に影響を与える要因として【まわりのゆとり】【過去の経験のイメージ】【子どもが選択できる可能性】【まわりとの一体化】【処置に対する代償利益の確認】【自らする覚悟の宣言】が挙げられた.<BR>覚悟に影響する6つの要因はどれもが子どもの自我機能強化につながっており, その強化の仕方によって, (1) 子ども自身がもともと持っている認知・情動との調整をはかって行動化する力 (自我機能) が十分に発揮されるあり方, (2) 子どもが認知と情動との調整をはかる主体であるということをまわりも認めることで, 子どもが自己コントロール感を取り戻し, 自ら行動化しやすくなるあり方, (3) 子どもの中で拭いきれない強い情動のゆれ (自我機能を弱めさせる外界からの力) にタイミングよくふんぎりをつけさせて行動化できるあり方, の3つに大別され構造化されていた.
著者
蛯名 美智子 村田 恵子 鈴木 敦子 片田 範子 中野 綾美 筒井 真優美
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

病院での検査・処置を受ける子どもが実際、どのように説明を受けているのかについて調査した。方法は参加観察及び、その後に子どもの親・医師・看護婦へのインタビューであった。研究対象は2〜13歳の18名の子どもとその親、それに関わる医師と看護婦であった。観察とインタビューから得られたデータは逐語的に整理され、研究者のグループによって分析された。その結果、以下のような4つの結果を得た。1.子どもが検査や処置について知らされた後から検査や処置中にわたって、自分で心理的に準備をしている。私たちはこの現象を子どもの心理的準備/決心、すなわち覚悟と名付けた。子どもが覚悟をして検査・処置に向かうためには、心地よい雰囲気、過去の検査イメージ、検査・処置の間に子どもに選択肢を与えた決定する機会、状況を人々と共に共有する間隔、検査・処置を受けることによって可能になる利益の保証、そして子ども自身による覚悟の宣言が必要であった。2.子どもの能力と医療者が認識する子どもの能力との間で、以下の3つの現象が観察された。それらは子どもの能力と子どもの能力に対する医療者の判断との間のずれ、検査・処置に対する子どもの反応と医療者の対応との間のずれ、そして子どもと医療者の双方の状況の理解に関するずれであった。3.子どもの検査・処置に参加する医師、看護婦、親の間で3つの役割がとられていた。1つは、検査・処置の子どもの反応をチェックすること、2番目の役割は検査・処置について子どもに説明すること、3番目の役割は子どもの覚悟を引き出し、それを維持させることであった。4.検査・処置の後の子どもの思いは、3つのタイプに分類された。3つのタイプとは、「私は頑張った」という思い、「私は頑張ろうとしたんだけど・・」という思い、「私はずっと頑張っているのに」という思い出あった。今後の研究課題は、コレラの結果からケアモデルを構築すること、精製されたケアモデルの効果を検証することである。
著者
吉田 美幸 楢木野 裕美 鈴木 敦子
出版者
福井医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、検査・処置を受ける幼児後期の子どもの調整能力発揮への支援プログラムを開発し、その効果を明らかにすることを目的とした。文献検討および、医療処置のなかでも点滴・採血を受ける幼児後期の子どもの自己調整機能とその発揮に向けた関わりに対する看護師への面接調査結果を基にプログラムを作成した。プログラム研修を看護師に実施し、研修前後の看護師のケア実践について調査した。その結果、研修後の看護師は、幼児後期の子どもの自己調整機能の発揮に向けた意図的な観察や実践をし、子どもと共にケアを探求する姿勢へと変化していく一方、多忙な中でのプログラム活用方法への検討の必要性が示唆された。
著者
林 一也 鈴木 敦子 津久井 亜紀夫 高松 直 内藤 功一 岡田 亨 森 元幸 梅村 芳樹
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.589-596, 1997-07-15
被引用文献数
6

The characteristic anthocyanin, vitamin C, dietary fiber and sucrose contents of new types of colored potatoes were studied. The total dietary fiber level in the violet, red and yellow potatoes w[ere 0.75, 0.66 and 0.85o%, respectively. The total vitamin C contents of the violet, red and yellow potatoes were 25.3, 14.l and 31.5mg/100 g, respectively, while the anthocyanin contents of the violet, red and yellow potatoes were 142,148 and 17 mg/100 g, respectively. The main anthocyanin structures in the violet and red potatoes were determined to be petanin and pelanin by FAB-M S and ^1 H-NM R analysis. The red potato anthocyanin was very stable to heat and UV irradiation. Sucrose in the red and yellow potatoes increased during low-temperature storage.
著者
成田 円 畑瀬 智恵美 鈴木 敦子 神野 朋美 寺山 和幸
出版者
名寄市立大学
雑誌
市立名寄短期大学紀要 (ISSN:09165975)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.107-122, 2005-03

本研究では、静脈血採決の技術演習内容を改善し実施したことによる技術演習の実施内容の是非を問い、今後の技術演習をより良いものにすることを目的として質問紙調査を行った。質問紙調査は、初回演習後(初回後)、学生自身が反復演習した後(自己学習後)および学生同士での採決実施後(採決後)にそれぞれ実施した。演習内容が効果的であったかを検討するため、昨年度の質問紙調査のデーターとも比較して分析した。 初回後に比べ自己学習後では、「駆血帯の巻き方」など4項目で困難であると回答した者の割合は有意に減少し、自信が持てたと回答した者の割合が有意に増加した。初回後に比べ採決実施後では、「針の刺入角度」など7項目で困難であると回答した者の割合が有意に減少し、自信が持てたと回答した者の割合は有意に増加した。また、自己学習後に比べ採決後では、「針の挿入角度」など2項目で困難であると回答した者の割合は有意に減少し、自信が持てたと回答した者の割合は有意に増加した。これらは、演習内容を改善したことで、目に見えない静脈と針との状態をイメージしながら主体的に反復練習し、最終的に自信へと繋がったと思われた。 今後、さらなる工夫をし、効果的な演習内容を探求していきたい。
著者
鎌田 佳奈美 楢木野 裕美 石原 あや 吉川 彰二 通山 由美子 森 瞳子 鈴木 敦子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、看護職が潜在的な虐待のリスクをもつ家族をアセスメントするためのツールを開発することを目的とした。小児病棟および救急病棟、小児外来、救急外来、保健センターに勤務する看護職12名の面接調査を行ない、虐待が起こるかもしれないと感じた子どもや家族の言動を抽出した。これらの項目の重視度について、子どもと家族にかかわりをもつ看護職を対象に質問紙調査を実施した。全国500床以上の病院および小児専門病院で、調査の協力に承諾の得られた72病院に勤務している看護職729人に質問紙を送付し郵送にて回収し、326人(回収率44.7%)より回答を得た。子どもと家族の観察項目で看護師が重要視する割合の高い内容をもとに、潜在的な虐待リスクをもつ家族をアセスメントするツールの試案を作成した。