著者
寺島 修一
出版者
武庫川女子大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

歌学書所引『万葉集』データベースの作成を目指し、以下の作業を行った。歌学書本文の電子テキスト化を進行した。電子テキスト化を終えたのは、『俊頼髄脳』(日本歌学大系本、京大本「無名抄」、関大本「俊秘抄」、松平文庫本「唯独自見抄」)『奥義抄』(日本歌学大系本、大東急文庫本)『袖中抄』(日本歌学大系本、歌論歌学集成本)『八雲御抄』(伝伏見院筆本)である。これらは底本とそれに対する校異という形を取らず、同一の歌学書であっても伝本ごとに独立した本文テキストとしてある。このような形にしたのはデータベースとして完成したときに伝本ごとの本文が独立して参照できるようにするためである。データの形式は基本的に国文学研究資料館の「原本テキストデータベース」の初期入力に準じて整形してある。また、新編国歌大観所収の『万葉集』から西本願寺本訓を抽出し、電子化テキストとして整形した。歌学書本文から『万葉集』歌を抽出する際に参照する本文としては、公開されているものの中では西本願寺本訓が最も適当であると判断した。これらのデータに基づき歌学書所引『万葉集』のデータベースの作成に着手した。歌学書各伝本ごとに万葉歌を抽出し、『万葉集』西本願寺本訓と対応させた。この作業過程において類歌検索プログラムを用いて自動化を試み、その結果に対してさらに手を加えた。類歌検索プログラムは古典文学データベースの研究会において手ほどきを受けたものである。以上のとおり、データベース化の基礎作業を進行させた。